オランダ・グローニンゲン大医療センターのMartje H Van Der Wal氏

 患者指導の重要性が改めて示された。食事や運動などの非薬物指導を順守する心不全患者ほど、アウトカムは改善することが分かった。COACH研究の成果で、オランダ・グローニンゲン大医療センターMartje H Van Der Wal氏(写真)らが11月11日、ニューオーリンズで開催されていた米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 これまで、非薬物療法治療の順守が心不全患者のアウトカムに良い影響を与えると示唆されてきたが、これを支持するデータはほとんど存在していなかった。この問題意識から演者らは、非薬物療法治療の順守と死亡率や再入院、心不全による入院日数などとの関係を調べた。

 対象は、心不全患者に対する非薬物療法指導とカウンセリングの効果を検討する多施設無作為化試験、COACH (Coordinating study evaluating Outcomes of Advising and Counselling in Heart failure)への参加者802人。その背景は、平均年齢70±11歳、37%が女性、平均左室駆出率(LVEF)34±14%などだった。

 試験開始時に患者特性を調べ、患者には非薬物療法指導(食事、水分制限、体重測定、および運動)と抑うつ症状に関する質問表に答えてもらった。「順守している患者」とは、患者がすべての指導項目に対して「常に従っている」、または「ほとんどの場合従っている」と答えた場合と定義した。

 評価は、指導後1カ月での非薬物療法指導の順守率とアウトカムとの関係に着目し、Cox回帰分析により行った。死亡率あるいは心不全による入院日数の差は、Mann-Whitney検定を用いて評価した。

 試験の結果、全体で48%の患者が非薬物療法指導を順守していた。一方の順守していなかった患者(52%)は、順守群に比べ有意に高齢(72歳対68歳、p<0.001)で、より高いニューヨーク心臓協会心機能分類(NYHA)クラスに属していた(クラスIIIが50%対40%、p=0.009)。また、抑うつ症状も、非順守群の方が有意に多かった(43%対35%、p=0.03)。

 年齢、NYHAクラスおよび抑うつ症状で補正した後では、非順守群では死亡率と心不全による再入院のリスクが有意に上昇していた(それぞれハザード比1.44、p=0.03、ハザード比1.52、p=0.012)。非順守群はまた、順守患者に比べ心不全による入院日数がより長かった(100.4日対51.7日、p=0.005)。

 演者らは、「非薬物療法指導を順守しないことが有意に死亡率と心不全による入院の増加と関係していた」と結論。改めて、患者指導が重要であることを訴えた。