10時間以上の長時間におよぶフライトの間や後に深部静脈血栓症DVT)になるリスクが高い人(HRS)では、低分子量ペハリンの投与がDVT予防に有益であることが分かった。プロスペクティブ研究であるLONFLIT試験で明らかになったもので、イタリア・キエーティ大のMaria Rosaria Cesarone氏らが11月11日、ニューオーリンズで開催中の米国心臓協会・学術集会AHA2008)で報告した。

 LONFLIT試験では、DVTの発生率(超音波検査で確認)は、HRSの4%から6%(無症状血栓を含む)であることが観察されている。今回演者らは、HRSに対するDVT予防策の評価を報告した。

 886人の候補者のうち、600人が被験者として登録した。これを、薬物による予防はせずフライト中に運動のみを行う対照群、アスピリン(400mgの水溶性アスピリン錠剤)をフライトの24時間前から開始して毎日1錠3日間服用するアスピリン群、低分子量ペハリン(LMWH;エノキサパリン−Lovenox)をフライトの2〜4時間前に注射する低分子量ペハリン群に振り分け、効果を比較検討した。なお、低分子量ペハリン群では、単回投与量(1000国際単位)を体重で調整した(体重10キロ当たり0.1 mlに相当)。

 アスピリンまたはLMWH、抗凝固剤、あるいはその他の相互作用の危険がある薬を使っていることで問題が生じる可能性のある対象者は除外した。

 評価は、2回目のフライト後24時間以内に、大腿、膝窩、ヒラメ筋静脈の高解像度超音波検査で行った。最初のフライトから2回目のフライトまでの時間は8日間以下(平均6.5日、SD 1.1)であった。最終的に、458人の対象者が2回のフライトによる調査を完了した。完了しなかったのは、低コンプライアンスまたは旅行中あるいは乗り継ぎでの問題が発生したためだった。

 年齢や性別、リスク分布などの患者背景は、3群で同程度だった。平均年齢は44.7歳(24〜66歳、SD7.1)で、54%が男性だった。

 検査の結果、対照群(160人)では6.87%にDVTを認め、2例に表在性血栓症(SVT)があった(合計イベント8.1%)。アスピリン群では、142人のうち4.9%にDVTを認め、3例にSVTがあった(血栓症イベントがある対象者の7%)。

 一方、LMWH群(156人)では、DVTの例を認めず、2例の表在性血栓症があったのみだった(1.28%。他2群との比較でそれぞれp<0.002)。

 なお、DVTの64%は無症候性であり、イベントのある被験者の78%、イベントのない被験者の28%でDダイマーが上昇していた。アスピリン群の15%で軽度の胃腸症状が報告されたが、LMWH群では副作用は見られなかった。

 これらの結果を基に演者らは、「LMWHの単回投与は、長距離フライトに出かけるDVTリスクの高い人が考慮すべき重要な選択肢である」と結論した。