ケンタッキー大のMartha J Biddle氏

 食物由来のカロチノイドリコピン)の摂取量を増やすと、心不全患者イベントフリー生存率が向上することが報告された。ケンタッキー大(米、レキシントン)のMartha J Biddle氏(写真)らが11月11日、ニューオーリンズで開催中の米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 これまでの研究で、リコピンの高摂取は、心疾患の予防あるいは予後改善に効果があることが示唆されている。演者らは、リコピンが主にトマトを含んだ加工食品から摂取されている点に着目。これらの多くは塩分量が多い点が問題で、リコピンに期待される効果を打ち消している可能性があることから、塩分摂取で層別化した上でリコピン摂取の効果を検証した。

 対象は135人の心不全患者(平均年齢60±12歳、38%が女性)。まず全員に詳細な食事日記を4日間つけてもらい、登録栄養士がその日記を患者とともに見て、食事の分量と調理方法を把握した。

 栄養分析は、栄養データシステムソフトウェア(Nutrition Data System software)を用いて行った。そのデータを基に、患者を平均塩分摂取量2913mgを境に、塩分高摂取層(71人)と塩分摂取低層(64人)の2つに層別化した。さらに、この2層内で、リコピンの平均摂取量2624μgを境にリコピン高摂取群とリコピン低摂取群に分けて、それぞれのアウトカムを比較した。

 統計的な検討ではカプランマイヤーとCox回帰生存分析を用い、アウトカムはイベントフリー生存率(心不全あるいは心疾患での入院なしの生存)で評価した。

 分析の結果、リコピンの高摂取群は低摂取群に比べて、イベントフリー生存率は有意に高かった(追跡399日時点、p=0.012)。また、同様の結果は両方の塩分摂取層で見られ、塩分低摂取層のリコピン高摂取群で、最もイベントフリー生存率が高かった(p=0.019)。年齢、性別、ニューヨーク心臓協会の心機能分類(NYHA)および駆出率(EF)で調整した後も、リコピン高摂取群はイベントフリー生存率が有意に高いままだった(p=0.014)。

 これらの結果を基に演者らは、「食物由来のリコピンの摂取量を多くすると、心不全患者のイベントフリー生存率が向上する可能性が示された」と結論した。また、「この効果は、塩分の摂取が多いと弱まることも示唆された」と指摘した。