Brigham and Women's HospitalのAruna D Pradhan氏

 メタボリック症候群(MetS)の女性は、末梢動脈疾患(PAD)発症リスクが増加していることが報告された。Women's Health Studyに参加している女性を対象に行った前向きコホート研究の成果で、Brigham and Women's Hospital(米、ボストン)のAruna D Pradhan氏らが11月10日、ニューオーリンズで開催中の米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 対象は2万7111人の女性で、全員が45歳以上だった。また試験開始時に心血管疾患はなかった。

 13.3年間(中央値)の追跡期間で、症候性PADは114例に認めた。試験では、Cox比例ハザードモデルを用いて、MetSを持つ女性(MetS群、2万191人)と持たない女性(非MetS群、6920人)の間でPADリスクを比較した。また、高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)や可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)などの無症状炎症マーカーとMetSとの関係を調べ、これらのバイオマーカー濃度について多変数モデルで補正した。

 なおMetSの基準は、BMI>26.7kg/m2、トリグリセリド≧150mg/dL、HDL-C<50mg/dL、血圧≧130/85mmHg、高血糖のうち、3つ以上が当てはまる場合とした。

 試験開始時、参加者の25.5%がMetSだった。分析の結果、MetS群は、PAD発症リスクが62%増加していた(ハザード比1.62、95%信頼区間1.10-2.38、p=0.013)。多変数補正後でも、MetSは有意にPAD発症と関連があった。

 MetSの因子の数によりPADリスクを評価したところ、同様の結果が得られた(追加1因子当たり21%のリスク増加)。血しょう中の平均hsCRP濃度は、MetS群で4.0mg/Lに対し非MetS群では1.53mg/L(p<0.0001)、平均sICAM-1濃度は、MetS群で374ng/mLに対し非MetS群では333ng/mL (p<0.0001)だった。MetSの因子が0から5までで、平均hsCRP濃度は1.0mg/Lから5.9mg/Lに徐々に増加し(p<0.0001)、平均sICAM-1濃度は321ng/mLから413ng/mL(P<0.0001)に増加した。PAD発症の多変数モデルにhsCRPとsICAM-1を加えたところ、MetSのリスクは有意ではなくなった。

 これらの結果から演者らは、「MetSがある女性では、PAD発症のリスクが増加することが分かった」と結論した。また、hsCRPやsICAM-1の増加も見られたことから、「リスクの増加には、炎症あるいは内皮活性化が介在しているようだ」と推察した。