エモリー大のSandra B Dunbar氏

 糖尿病のある心不全HF)の患者は、併存疾患に加え、自己管理上の多くの問題も抱えている実態が報告された。糖尿病のあるHF患者と糖尿病のないHF患者を比較した研究の成果で、エモリー大(米、アトランタ)のSandra B Dunbar氏(写真)らが11月10日、ニューオーリンズで開催されている米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 心不全患者のおよそ30〜47%に糖尿病があり、再入院と死亡のリスク増に関連している。演者らは、糖尿病のあるHF患者において、自己管理とアウトカムに影響を及ぼす可能性のある心理的要因や身体的症状、併存疾患に関するデータが少ないことから、実態調査を実施した。

 対象は、HFにおける栄養とBMIに関する大規模研究への参加者から募った212人。年齢は61±11歳で、62%が男性、25%がアフリカ系米国人、62%がNYHA機能クラスIII/IVだった。212人のうち、糖尿病のあるHF患者は78人(37%)、糖尿病のないHF患者は134人だった。両群について臨床評価を行い、面接およびアンケート調査も実施した。また、登録後12カ月の入院についても把握した。

 着目したのは併存疾患の有無と種類、不安の心理社会的要因(Brief Symptom Inventory簡易症状評価尺度で評価)、抑うつ症状(Beck Depression Inventory-IIベックのうつ評価尺度で評価)、および社会的サポート(Perceived Social Support Scaleソーシャルサポート尺度で評価)。

 また、HF症状の頻度と重症度(Symptom Status Questionnaire症状の重さに関するアンケートによる評価)と機能状態のアウトカム(Duke Activity Status Index、DASI、デューク活動状態指標)および生活の質(MLHFQ)も把握した。

 12カ月後の入院に関する情報は、カルテおよび患者やその家族との面談から入手した。なおデータは、t検定、カイ二乗、およびノンパラメトリック統計により分析した。

 その結果、糖尿病があるHF患者は糖尿病がないHF患者より、年齢(63±9歳対60±12歳、p=0.02)、BMI(32+6.4対29.4+6.7kg/m2、p=0.003)、および冠動脈疾患、脳卒中、腎不全の割合(p=0.01)のそれぞれで有意に高かった。

 両群で心理社会的要因における違いは見られなかったものの、糖尿病があるHF患者は糖尿病がないHF患者より、症状の重症度が高く(13.7±6.7対10.7±6.9、p=0.003)、一方でDASIスコアとMLHFQスコアが低かった(11.4±10.8対15.8±13、p=0.001、および45.1±22対38.5±23、p=0.04)。また、12カ月後の入院も糖尿病のある群が多かった(1.5±2.8対.55±1.1、p=0.04、n=122)。

 演者らはこの結果から、「糖尿病があるHF患者は、併存疾患が多く、またその症状は重症化しており、入院する割合も多かった」とし、「機能状態と生活の質も低下しているため、自己管理の方法がより複雑になっている」と結論した。その上で、「今回明らかになったデータは、アウトカムを改善するための自己管理モデルの作成に活かしていくべき」などと考察した。