横浜市立大学附属市民総合医療センターの大塚文之氏

 発症前からスタチンを長期服用していたST上昇型心筋梗塞STEMI)患者は、服用していなかった患者に比べてプラーク破裂が少なく、梗塞のサイズも小さいことが分かった。STEMI患者を対象とした断面調査に基づく研究で、横浜市立大学附属市民総合医療センターの大塚文之氏(写真)らが11月9日、ニューオーリンズで開催中の米国心臓協会・学術集会AHA2008)で報告した。

 大塚氏らは、発症6時間以内に自施設に入院したSTEMI患者のうち、悪性腫瘍感染症慢性炎症性疾患などの症例を除外した355人(うち男性が295人)を分析対象とした。対象者は全例、冠動脈再灌流治療を実施、心血管インターベンションに先立って血管内超音波検査(IVUS)を行った。

 患者のうち、52人は発症前からスタチンを服用していた。年齢はスタチン群が平均66.4歳、非スタチン群が61.9歳でスタチン群が有意に高齢だった。

 IVUSによる評価の結果、217人(61%)でプラーク破裂が確認された。スタチン群でプラーク破裂が見られたのは40.4%だったのに対し、非スタチン群では64.7%で、スタチン群で有意に少なかった(p=0.002)。

 さらに、クレアチニンキナーゼMBアイソザイム(CK-MB)のピーク値で評価した梗塞サイズは、スタチン服用群は非服用群よりも有意に小さく(p=0.028)、プラーク非破裂群はプラーク破裂群よりも有意に小さかった(p=0.010)。

 プラーク破裂を目的変数としてロジスティック回帰分析を実施し、年齢LDLコレステロール値を含む他のリスク因子を調整したところ、スタチン服用は独立の負の予測因子となり(p=0.009)、現在の喫煙(p=0.008)とHDLコレステロールの低値(p=0.005)は独立の正の予測因子となった。

 またCK-MB値で評価した梗塞サイズについての多変量解析では、スタチン服用だけが独立な負の予測因子となった(p=0.039)。

 これらの結果から大塚氏らは、「長期のスタチン服用は、プラーク破裂の発生を抑制することで心血管保護的に作用し、たとえSTEMIを発症した場合でも梗塞を小規模に留める可能性が示された」とした。