Brigham and Women's HospitalのPaul M. Ridker氏

 LDLコレステロール値の上昇は認められないがC反応性タンパク質hsCRP)の上昇が認められる患者では、ロスバスタチンによる治療が有益であることが分かった。臨床試験JUPITERによる成果で、治療群では心血管イベントの発生がプラセボ群より44%減少した。Brigham and Women's Hospital(米、ボストン)のPaul M. Ridker氏(写真)らが11月9日、ニューオーリンズで開催されている米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 JUPITER(Justification for the Use of statins in Primary prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)はプラセボ対照二重盲検無作為化試験で、心血管疾患の既往あるいは糖尿病歴がないLDL-C<130mg/dL、hsCRP≧2mg/Lの患者(男性≧50歳、女性≧60歳)を対象に、26カ国におよぶ多施設共同研究として行われた。

 対象は、ロスバスタチン治療群(20mg/日、8901人)とプラセボ群(8901人)に無作為に割り付け、4年以上にわたって追跡調査した(中央値1.9年、最長5.0年)。

 主要評価項目は、心筋梗塞(MI)や不安定狭心症、脳卒中や心血管死の発生、ならびに冠動脈バイパス術(CABG)/経皮的冠動脈形成術(PTCA)の実施など複合ポイントに設定した。一方、副次的評価項目は総死亡とした。

 試験の結果、主要評価項目は、ロスバスタチン治療群で8901例中142例に、一方プラセボ群で8901例中251例に確認された。プラセボ群に対する治療群のハザード比は0.56(95%信頼区間0.46-0.69、p<0.00001)で、治療群の方が44%減少していた。患者1人がメリットを得るために、同様に何人の患者に治療を行わなければならないかを示す指数であるNNT(Number Needed to Treat)は、25人と効率的だった。

 MI、脳卒中あるいは心血管死でみると、治療群の方が47%減少していた(ハザード比0.53、95%信頼区間0.40-0.69、p<0.00001)。また、不安定狭心症による入院あるいはCABG/PTCAの実施でみても、治療群の方が47%減少した(ハザード比0.53、95%信頼区間0.40-0.70、p<0.00001)。

 副次的評価項目とした総死亡は、治療群で198例、プラセボ群で247例がそれぞれ確認された。治療群の方が20%減少という結果だった(ハザード比0.80、95%信頼区間0.67-0.97、p=0.02)。

 有害事象と安全性の評価指標については、癌死の割合が治療群で有意(p=0.02)に少なかった一方、GFR、HbA1c、医師による糖尿病発症の報告のそれぞれで治療群の方が有意に高かった。このほかの有害事象については、両群で差を認めなかった。

 癌による死亡は、治療群で35例(0.4%)、プラセボ群で58例(0.7%)に認めた。一方、GFR(ml/分/1.73m2、12カ月時点)は、治療群で中央値66.8(59.1-76.5)、プラセボ群で中央値66.6(58.8-76.2)で、治療群の方が高かった(p=0.02)。また、HbA1c(%、24カ月時点)は、治療群5.9(5.7-6.1)、プラセボ群5.8(5.6-6.1)で、治療群の方が高かった(p=0.01)。医師による糖尿病発症の報告も、治療群245件(2.8%)、プラセボ群196件(2.2%)で、治療群の方が高かった(p=0.02)。

 これらの結果から演者らは、「hsCRP高値の患者に対するロスバスタチンによる治療が有益である」と結論した。特に、MI、脳卒中あるいは心血管死が47%減少し、総死亡も20%減少した点を強調するとともに、NNTが25人だった点は医療経済的にも有益と指摘した。

 安全性も評価できるものだったとした。HbA1cの値と医師による糖尿病発症の報告数が増加していた点については、他のスタチンによる臨床試験と同様に微増だったと評価した。

 なお、JUPITER試験は3月に、明らかな有益性が確認されたとして試験が中止されている。