テュレーン大Center for Cardiovascular HealthのQuoc Manh Nguyen氏

 2型糖尿病では小児期から、脂質異常グルコース恒常性の異常など、メタボリックシンドロームMetS)のリスク変数が加速度的に悪化していることが分かった。Bogalusa Heart Studyの成果で、テュレーン大Center for Cardiovascular Health(ニューオーリンズ)のQuoc Manh Nguyen氏(写真)らが11月9日、当地で開催されている米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 演者らは、2型糖尿病の発症にいたる経緯とMetSのリスク変数との関係を明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。対象は、小児期(4〜11歳)と青少年期(12〜18歳)、成人期(19〜44歳)のそれぞれにおいて、心臓血管のリスク因子を把握していた1988人(白人68%、男性43%、中央値33歳;19〜44歳)。内訳は、正常血糖者(n=1838)、前糖尿病患者(n=90)、2型糖尿病患者(n=60)だった。

 正常血糖群、前糖尿病群、2型糖尿病群の各群間で、小児期から成人期にわたってMetSのリスク変数がどのように変化しているのか比較検討した。

 その結果、前糖尿病患者は正常血糖者と比較して、肩甲骨下脂肪とグルコース値が小児期から有意に高かった。また青少年期と成人期で、低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)、インスリン、インスリン抵抗性のホメオスタシスモデル(HOMA-IR)の値が高く、成人期では、BMI、平均動脈圧(MAP)、トリグリセリドが高かった。

 糖尿病患者は前糖尿病患者と比べて、小児期から肩甲骨下脂肪、BMI、トリグリセリド、グルコース、インスリン、HOMA-IRの値が有意に高い一方で、高比重リポタンパクコレステロール(HDL-C)の値が有意に低く、青少年期と成人期ではMAPのレベルが高かった。

 特徴的なのは、前糖尿病群と糖尿病群の両方において、これらの変数の多くが加速度的に悪化していたことだ。

 年齢や人種、性別などで調整した多変数モデルにおいて解析したところ、グルコースとLDL-Cに見られた値の悪化は、独立して前糖尿病患者と関連していた。またBMIとグルコース、HDL-C値の悪化は、糖尿病患者と関連していた。なお、前糖尿病群と糖尿病群では、成人期の若い人は、肥満、高血圧、脂質異常、高インスリン血症の有病率が有意に高いことも分かった。

 これらの結果から演者らは、「メタボリックシンドロームのリスク変数の異常、特に脂質異常とグルコース恒常性の異常があり、さらにこれらの値が小児期から加速度的に悪化することが、2型糖尿病にいたる経緯の初期の特徴である」と結論し、「リスク因子に対しては、小児期から予防に取り組むとともに、早期の介入を実施すべきである」などと考察した。