テキサス大サウスウェスタン校のShoaib Saya氏

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた末梢動脈疾患(PAD)患者では、フォローアップ中に有害な心血管イベントが起こる危険性があるが、PCIの変遷にも関わらず、依然として死亡および心筋梗塞(MI)のリスクが高いことが報告された。米国立心臓肺血液研究所(NHLBI)のDynamic Registryの分析で明らかになったもので、テキサス大サウスウェスタン校のShoaib Saya氏(写真)らが11月9日、ニューオーリンズで開催されている米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 PCIは初期ベアメタルステント(BMS)からベアメタルステント、さらに薬剤溶出ステント(DES)へと変遷してきた。演者らは、こうした治療内容の変化が、アウトカムにどのような影響を与えたのかを把握するため調査を実施した。

 対象は、Dynamic Registryから抽出したPCIを受けたPAD患者866人。その治療時期から、初期BMS期(1997〜98年、n=180)、BMS期(1999年と2001〜2002年、n=339)、DES期(2004年と2006年、n=347)に分けて、それぞれの入院中と治療後1年間のアウトカムを比較した。

 その結果、入院中の冠動脈バイパス術(CABG)の割合は、初期BMS期が3.9%、BMS期が0.9%、DES期が0.6%で後期ほど有意に低かった(p=0.005)。また、アスピリンやβ遮断薬、スタチンおよびチクロピジンあるいはクロピドグレルを処方されて退院する患者の割合も増加していた(すべてp<0.001)。

 治療時期ごとの治療後1年間の有害事象を調べたところ、死亡は初期BMS期13.7%、BMS期10.5%、DES期9.8%(p=0.39)、MIは初期BMS期9.8%、BMS期8.8%、DES期10.0%(p=0.87)、CABGは初期BMS期11.0%、BMS期5.9%、DES期4.0%(p=0.008)、再PCIは初期BMS期19.7%、BMS期17.5%、DES期13.7%(p=0.17)、再血管再建術は初期BMS期26.8%、BMS期21.0%、DES期17.2%(p=0.02)で、再血管再建術の割合だけが有意に減少していた。

 一方、PCIを受けたPADではない患者の場合、死亡は初期BMS期(n=2323)で4.2%、BMS期(n=3803)で4.4%、DES期(n=3915)で4.0%(p=0.76)、MIは初期BMS期5.3%、BMS期5.0%、DES期4.4%(p=0.19)、再血管再建術は初期BMS期21.5%、BMS期15.9%、DES期11.4%(p<0.001)だった。こちらも再血管再建術は有意に減少していた。

 PAD患者における有害事象の1年間補正ハザード比(HR)を求めたところ、初期BMS期を基準にした場合、死亡はBMS期が0.84(95%信頼区間0.46-1.55、p=0.58)、DES期が1.35(95%信頼区間0.71-2.56、p=0.36)、MIはBMS期が0.89(95%信頼区間0.48-1.66、p=0.72)、DES期が1.02(95%信頼区間0.55-1.87、p=0.95)、再血管再建術はBMS期が0.63(95%信頼区間0.41-0.97、p=0.04)、DES期が0.46(95%信頼区間0.29-0.73、p=0.001)だった。

 これらの結果から演者らは、「再血管再建術の減少が見られたにも関わらず、PCIを受けたPAD患者は依然として死亡とMIのリスクが高いことが分かった」と結論した。その上で、「こうしたハイリスク患者の心血管アウトカムを改善する方策について、さらに研究を重ねることが重要である」と指摘した。