米ユタ大学医療情報学科助教授のBenjamin Horne氏

 定期的な絶食の習慣がある人は、冠動脈疾患(CAD)の発症リスクがほぼ4割少ない可能性があることが、米国における調査で明らかになった。米ユタ大学医療情報学科助教授のBenjamin Horne氏が、米国心臓協会・学術集会のポスターセッションで11月6日に発表した。

 研究グループは、CAD死亡率が低いことが知られているモルモン教徒(末日聖徒イエス・キリスト教会信者)に断食の習慣があることに着目した。モルモン教徒は、禁酒・禁煙をはじめ、厳しい戒律を守ることで知られている。CAD死亡率が低いことは1970年代から報告されているが、主として禁煙の影響とされ、それ以外の要因については不明だった。

 そこでHorne氏らは2つの調査を実施した。まず、ユタ州を含む地域の循環器研究レジストリ(Intermountain Heart Collaborative Registry)において、1994〜2002年にかけて、冠動脈疾患あり、または健常者として登録した4629人を対象に、宗教について確認した。

 これとは別に、2004〜2006年に冠動脈造影を受けた515人に対して、絶食、飲酒、喫煙、宗教的活動へのかかわりについて調査した。

 第1の調査では、4629人中、モルモン教徒(の宗教的志向を持つ者)が3162人にのぼった。その他の者(n=1467)と比較すると、モルモン教徒ではCAD発症者の比率が66% vs 61%と有意に低かった。性、年齢、喫煙、高血圧などを調整後のオッズ比は0.81で、モルモン教徒のCAD発症リスクが約2割、有意に低いことが示された(p=0.009)。

 ベースラインにおける2群の古典的リスクを比較すると、モルモン教徒では、たしかに喫煙者が大幅に少なかった(12% vs 31%、p<0.0001)。このほか、高脂血症も少なかった(41% vs 46%、p=0.008)が、BMIはわずかに高く(29.9 vs 29.4、p=0.007)、平均年齢も有意に高かった(64.5歳 vs 61.5歳)。糖尿病、高血圧、CADの家族歴には有意差はみられなかった。

 一方、第2の調査は、絶食習慣とCADの関連に焦点を当てた。絶食習慣がある群のCAD発症者は59%だったのに対し、絶食習慣なし群は67%で、調整後のオッズ比は0.61と、絶食習慣のある人ではCAD発症は約4割少なかった。

 これらの結果からHorne氏らは、禁煙だけでなく絶食習慣にCADリスクを下げる可能性があるか、あるいは絶食と他の好ましい生活習慣に関連性がある可能性を指摘した。モルモン教徒の断食は月1回程度とされ、慢性的な飢餓状態をもたらすものではない。同氏は、「小食、あるいはカロリー制限を含めて絶食習慣の意義について検討していきたい」としていた。