米ミネソタ大学のInder S. Anand氏

 バルサルタン慢性心不全における予後改善作用はVal-HeFT試験で確立されている。Val-HeFTにおけるバルサルタンの服用方法は160mg×2回/日だったが、320mg/日×1回でも同等の有用性が得られる可能性が示された。米ミネソタ大学のInder S. Anand氏がDESTINY-HF試験の結果として、米国心臓協会・学術集会の最終日に、一般口演で報告した。

 DESTINY-HF(Diovan Evaluation of Safety TwIce vs. oNce dailY study in Heart Failure)試験は、バルサルタン「160mg×2回/日」と「320mg×1回/日」の安全性忍容性を比較する臨床試験である。

 対象はVal-HeFTより少し軽症となるNYHA II〜III度の慢性心不全患者(左室駆出率40%未満)115例。アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬β遮断薬を既に服用しており定量の利尿薬を3カ月以上服用している患者を選択した。また除外基準は、「心血管系合併症」、「腎機能障害」(血清クレアチニン2.5mg/dL超、血清カリウム濃度≧4.8mEq/dL,腎動脈狭窄)と「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)服用」とした。

 これら115例は、「160mg×2回/日」(2回群:60例)と「320mg×1回/日」(1回群:55例)に無策化され、80mg/日(1回あるいは分2)から開始し2週間ごとに倍量へ増量、4週目には320mg/日に達し、その後6週間追跡された。

 「2回群」では有害事象14例+不同意3例の17例が脱落、「1回群」でも有害事象11例+不同意1例の12例が脱落し、最終的に2回群、1回群とも43例ずつでの評価となった。

 第一評価項目は「忍容性」である。「腎機能悪化」(クレアチニンとカリウムで評価)、「低血圧」(過降圧ならびに症状)と「心不全悪化」(NYHAで評価)による服薬停止を免れた患者の割合で評価した。試験開始2、4、6、10週間後にそれぞれ評価したが、いずれの時点でも両群間の忍容性に差はなかった。また「320mg/日達成率」も「2回群」67%、「1回群」71%で有意差はなかった。

 「低血圧」に関しては「1回群」で「収縮期血圧90mmHg未満」の出現が有意に多かった(0% vs 7%、p=0.03)。ただし低血圧による症状」の発現には両群間に差はなかった(1回群:25% vs 2回群:27%)。「腎機能悪化」の発現も両群で同等だった。(同:0% vs 2%)。腎機能に関しては糸球体濾過率(eGFR)とシスタチンC濃度、血中尿素窒素も検討したが、試験期間中の変化度は両群で同等だった。

 「心不全悪化」(同:4% vs 7%)の発現にも両群間に有意差はなく、BNP濃度の変化も両群で同等だった。有害事象発現も両群で同等だった。

 なお、AT1受容体拮抗作用も両群で同等と考えられた。血漿レニン活性をネガティブ・フィードバックの指標として検討したが「1回群」と「2回群」との間に有意差はなかった(1回群:1.0mg/dL/時 vs 2回群:0.3mg/dL/時[いずれも中央値])。

 Anand氏は「中等度慢性心不全においてバルサルタン320mg/日1回160mg×2/日と同様のAT1受容体拮抗作用を示し、安全性と忍容性も同等である」と結論した。