イタリアPavia大学のRoberto Fogari氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬による心房細動(AF)再発抑制作用がいくつかの臨床研究で報告されている。イタリアUniversity of PaviaのRoberto Fogari氏が検討したところ、レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬Ca拮抗薬と異なり、心房壁の「器質的リモデリング」を抑制し、さらにARBはACE阻害薬よりも強力な「電気的リモデリング抑制作用」があるという。米国心臓協会・学術集会の一般口演で11月6日に発表した。

 Fogari氏らは降圧薬によるAF再発抑制作用を比較するため、AF既往のある高血圧患者341例をARBの「バルサルタン」群(113例)、ACE阻害薬「ラミプリル」群(115例)と「アムロジピン」群(113例)に無作為割り付けして検討した。

 対象としたのは、過去6カ月以内に2回以上のAFエピソードを心電図で確認された高血圧患者(140〜160/90〜100mmHg)である。RA系阻害薬や抗不整脈薬服用者、直近3カ月に電気的除細動を受けた例は除外されている。3群間の背景因子については、年齢、性別や心房径などを含め、有意差は認められなかった。対象患者は休薬導入期間後に上記試験薬の服用を開始し、12カ月間追跡。降圧が不十分な場合は試験薬を増量した。

 12カ月間の試験終了時、3群間には血圧と心拍数に有意な差はなかった。にもかかわらず、AFエピソードの再発は、アムロジピン群に比べ、バルサルタン群とラミプリル群で有意(p<0.01)に少なく、バルサルタン群ではさらに、ラミプリル群よりも有意(p<0.05)に減少していた。

 これらの差をもたらす機序を探るべく、心房壁の器質的リモデリングを検討した。するとラミプリル群とバルサルタン群では、アムロジピン群と異なり「心室壁線維化」が抑制されていたが、ラミプリル群とバルサルタン群間に抑制の差はなかった。

 そこで心房細動の心電図所見に特徴的なP波の振れ(dispersion)の変化を見たところ、アムロジピン群では試験開始時と終了時の間に変化はなかったが。ラミプリル群とバルサルタン群では試験終了時有意な低下が認められた。さらに、バルサルタン群における試験終了時のP波dispersionはラミプリル群よりも有意に低値となっていた。

 これらよりFogali氏は、「バルサルタンによるAF再発抑制には2つの機序が働いていると思われる。そのひとつ『器質的リモデリング抑制』はACE阻害薬も同様に有するようだが、P波dispersionの改善に見られる『電気的リモデリング抑制』はおそらく、バルサルタンに固有の作用だろう」と結論した。