CAUSMIC研究の成果を発表するNabi Dib氏

 心筋梗塞の患者に本人の骨格筋由来筋原細胞を移植する治療法で、安全性が確認された。CAUSMIC研究のフェーズ1臨床試験の結果によるもので、米カリフォルニア大のNabi Dib氏(写真)らが11月7日、米国心臓協会・学術集会の特別セッションで報告した。

 試験の対象は、心筋梗塞およびうっ血性心不全の徴候がみられた患者23人。ニューヨーク心臓協会の心機能分類(NYHA)はIIからIVで、駆出率は40%以下の症例だった。薬物療法あるいは心臓の再同調療法(ペースメーカーや細動除去器デバイス療法)を受けていたにもかかわらず、状態は改善していなかった。また、血管形成術やステント治療、冠状動脈バイパス手術の適応とならない症例だった。

 試験では、薬物療法を継続する一方、12人には自家の骨格筋由来筋原細胞(最高で6億個の細胞)を移植し、残りの11人には移植せず、両群の治療成績を比較した。

 心臓への影響については、電気機械的マッピング法による超音波心臓検査、生活水準評価、NYHA分類、心筋層の活動量などによって評価した。

 12カ月間の経過観察の結果、心不全の状態は、移植群で有意に改善していた。例えば、NYHAの平均値は、移植群では開始時2.7から、6カ月後に1.5、12カ月後に1.7へと推移した。これに対し、非移植群では開始時2.4から6カ月後に2.7、12カ月後に2.8という変化だった(6カ月後、12カ月後ともにp<0.0001)。

 一方、懸念された不整脈の発生は、両群で差がなかった。

 Nabi Dib氏は、「今回の研究で、骨格筋由来筋原細胞の移植による心筋梗塞の治療法について安全性が確認された。また、3次元カテーテルを使って心内膜に骨格筋細胞を注入する方法も確立できた」と結論。今回の結果を踏まえて、米食品医薬品局(FDA)がフェーズ2臨床試験(165人の患者を対象)の実施を承認したことも紹介した。