米ミネソタ大学のInder S Anand氏

 米ミネソタ大学のInder S Anand氏らは、Val-HeFTのデータベースを用いた解析から、Growth Differenciate Factor(GDF)-15慢性心不全において独立したリスクであり、またバルサルタンにはこのGDF-15を抑制する作用があることを見い出した。研究結果は11月5日、米国心臓協会・学術集会2日目の一般口演で報告された。

 TNF-αファミリーに属するGDF-15は、虚血性心疾患心不全患者において血中濃度の上昇が報告されている。Val-HeFTでは試験開始時のGDF-15濃度が1734例で得られたが,その85%が異常値(1200ng/L以上)を示していた。

 まず単変量解析を行なうと、試験開始時のGDF-15濃度100mg/dLの上昇により、「総死亡」は相対的に1.7%、「心不全による入院」は2.0%、また「死亡+心不全増悪(入院、蘇生可能な心停止、強心薬・血管拡張薬静注4時間以上)」は2.0%、それぞれ有意(p<0.001)にリスクが増加していた。

 次に多変量解析を行ったところ、GDF-15はBNP(1.68),尿酸(1.66)に次いで死亡リスクを上昇させる(1.60)有意な因子であることが明らかになった(カッコ内ハザード比)。

 さらに、GDF-15はこれまで明らかになっているリスクとともに用いても、予後予知に関して新たな情報を追加することが明らかになった。例えば、BNP高値(中央値超)群と低値群では低値群の生存率が良いが、BNP値が同じであれば、GDF-15高値のほうがGDF-15低値に比べ生存率は良好だった。BNPの代わりに高感度トロポニン(hs-TnT)を用いても同様だった。

 上記は試験開始時のGDF-15に注目した解析だが、試験中の変化に着目すると、4カ月間でGDF-15の100ng/dL増加により、「心不全による入院」が1.6%(p<0.001)、「死亡+心不全増悪」は1.0%(p=0.001)、それぞれ有意にリスクが増加することも明らかになった。

 このため心不全治療に当たっては、GDF-15を減少、あるいは上昇を抑制する必要があるが、バルサルタンはGDF-15の増加を抑制する。試験開始から1年間の血中GDF-15濃度の推移をバルサルタン群とプラセボ群で比較したところ、いずれの群においてもGDF-15濃度は上昇するが、バルサルタンはプラセボに比べ、増加率は有意(p=0.001)に抑制されていた(勾配が小さい)。

 この結果からAnand氏は、「バルサルタンによるこのGDF-15抑制の臨床的有用性を明らかにする必要がある」と述べた。