米オハイオ州立大学のLynn White氏

 米国心臓協会(AHA)が2005年秋に発表した心肺蘇生新ガイドラインは、長年のルールを大きく変更するものだったが、米国内では十分に普及し、実践されているもようだ。米オハイオ州立大学のLynn White氏らが、救急医療データベースの記録49症例分を解析して得た予備的研究の成果で、11月5日、米国心臓協会・学術集会のポスターセッションで報告した。

 AHAが、「心マッサージ15回ごとに人工呼吸2回、AED優先」という心肺蘇生のルールを「心マ30回ごとに人工呼吸2回、心マ最優先」へと大きく変更した新ガイドライン「ガイドライン2005」を発表したのが2005年秋。心マッサージを中断する時間を極力減らしたのが特徴だ。

 White氏らは、年間約400件の院外心停止がある地域の救急医療データベースから、心電図記録がある心室細動症例を選んだ。同地域では、新ガイドラインに基づく救急医療関係者への教育を2006年4月に開始、同年7月1日付けで患者対応手順を新ガイドラインに準拠したものに切り換えている。

 そこで、新ガイドライン適用前(2004年9月1日〜2005年12月31日)の29症例と、新ガイドライン適用後(2006年7月1日〜2007年4月1日)の20症例を対象に比較を試みた。

 その結果、適用前には、心マッサージは平均47回/分だったが、適用後には75回/分と大幅、かつ有意に増加した(p<0.01)。除細動の回数は、適用前には4.5回だったが適用後には2.8回と有意に減少(p<0.04)、心肺蘇生手技の質向上をうかがわせる結果になった。

 新ガイドラインで重用視しているのは、心マの頻度とともに中断時間の短縮だが、第1回目の除細動後、心マッサージ再開までの時間は、適用前には実に48.7秒と1分近かったものが、適用後には11.8秒と4分の1以下に短縮した。ただし、症例数が限られているため、心拍再開率、退院時生存率については有意な差は見られなかった。

 これらの結果からWhite氏は、新ガイドラインに対応したAHAの医療従事者向けのBLS(basic life support)教育プログラムは、心肺蘇生手技の改善に貢献していると推察できるとしていた。


【訂正】
11月5日に以下のように訂正しました。
本文第3段落に「心房細動」とありましたが正しくは「心室細動」でした。