米リトウイン大学のTheophillus Owan氏

 BMIが45を超える高度肥満の女性で、胃バイパス手術で体重の大幅な減少が実現した対象者を追跡する前向き研究を行ったところ、閉経前の女性に限り、心筋の左室拡張能が改善することが確かめられた。米ユタ州ソルトレイク市リトウイン大学のTheophillus Owan氏らの研究で、米国心臓協会・学術集会の初日、11月4日のポスターセッションで報告された。

 Owan氏らは、BMIが45を超える699人の高度肥満女性を対象とした。このうち、保険適用の関係で261人がRoux en Y法による胃バイパス手術を受け、他の438人は受けなかったので、非手術群を対照群として2年間追跡し、開始時点と2年後に組織ドップラーを含む心エコー・ドップラー検査を実施し、拡張早期と後期の左室流入速度を評価した。

 開始時点で比較すると、閉経群は閉経前群に対して、年齢が有意に若く(40.1歳 vs 55.5歳、p<0.0001)、収縮期血圧(121.2mmHg vs 128.1mmHg、p<0.0001)とHDLコレステロール(46.7mg/dL vs 48.6mg/dL、p=0.04)が有意に低かった。BMI(45.9 vs 45.2kg/m2)や腹囲(132.2cm vs 132.0cm)などは差が見られなかった。

 2年後には、閉経群、閉経前群とも、手術群は対照群に比べて劇的な体重減少が実現した。手術群では開始時点に比べ、BMIが16.5(閉経前群)、14.1(閉経群)と有意かつ大幅に減少し、腹囲も実に34.7cm(閉経前群)、34.9cm(閉経群)と有意に細くなった。このほか、収縮期血圧、心拍数、血清コレステロール、トリグリセライドはいずれも有意かつ大幅に減少、逆にHDLコレステロールは有意に増加した。非手術群では、いずれの値も有意な変化は見られなかった。

 ドップラー検査による左室流入速度を開始時と2年後で比較すると、組織ドップラーによる測定では、手術を行った閉経前群では非手術群に比べ、早期流入速度が有意に速くなり、後期速度は有意に遅くなり、左室機能の改善が見られた。閉経群では、早期、後期ともに有意な改善は見られなかった。

 メタボリック指標については、閉経群、閉経前群ともに改善していたのに対して、左室拡張能については閉経前群においてだけ改善が見られたことについて、研究グループのZachary William氏は、「女性ホルモンなど様々な要因の影響と見られるが、まだ、よく分からない」としていた。