BRIEF-PCIの成果を報告したAnthony Fung氏

 待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のエプチフィバチド療法において、2時間以内持続静注の安全性と有効性が確認された。臨床試験「BRIEF-PCI」により明らかになったもので、カナダのバンクーバー総合病院のAnthony Fung氏(写真)らが11月4日、米国心臓協会・学術集会のLate Breaking Clinical Trials 1で発表した。

 待機的PCI後のエプチフィバチド(血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体の選択的高親和性抑制剤)の投与方法は、周術期の心筋虚血や損傷を防ぐ目的で、急速静注(180mcg/kg、10分apart)と18時間持続静注(2mcg/Kg/分)が標準的とされてきた(ESPRIT 2000)。

 Fung氏らは、複雑な病変に対するPCIでない場合には、18時間持続静注は短くできるのでないかと考え、時間短縮を検討した。これにより入院期間を短くできるだけでなく、患者の経済的な負担も軽くすることが可能となるからだ。

 2004年12月から2007年7月までに、624例を18時間持続静注群(312例)と2時間以内持続静注群(312例)に割り付け、比較検討した。対象患者は、安定狭心症や急性冠症候群あるいは48時間以内のST上昇心筋梗塞で、全員が待機的PCIを受けていた。なお、18時間持続静注群で19例、2時間以内持続静注群で20例に出血が見られたため、早期に脱落している。

 静注時間の違いは、周術期の心筋虚血や損傷の発生状況で評価した。その結果、周術期の心筋損傷率をみると、2時間以内持続静注群は30.1%、18時間持続静注群は28.3%で、その差は1.8ポイントに過ぎなかった(95%信頼区間の上限は7.8%;非劣性であることを示すp値はp<0.012)。

 また30日後の心筋梗塞の発生率は、2時間以内持続静注群が4.8%、18時間持続静注群が4.5%で有意差はなかった。死亡例はどちらの群もゼロで、緊急血管再開通術は両群ともに0.6%だった。ただし、生命に危険のある出血の発生率は、2時間以内持続静注群が1%、18時間持続静注群が4.2%で、2時間以内持続静注群の方が低かった(p=0.02)。

 これらの結果から、Fung氏らは、「複雑な病変に対するPCIでない場合には、エプチフィバチドの投与方法は2時間以内でも安全かつ有効に実施できることが分かった」と結論した。