TRITON TIMI-38の成果を発表したElliott M Antman氏

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適用される急性冠症候群(ACS)において、抗血小板薬プラスグレルは標準的抗血栓療法に用いられるクロピドグレルよりも有効性が高いことが確認された。国際的な二重盲検試験のフェーズ3である「TRITON TIMI-38」によって明らかになったもので、米ハーバード大ブリガム女性病院のElliott M Antman氏(写真)らが11月4日、米国心臓協会・学術集会のLate Breaking Clinical Trials 1で発表した。

 TRITON TIMI-38は、抗血小板薬プラスグレル(開発コード:CS-747)の有効性と安全性をクロピドグレルと比較した大規模臨床試験。30カ国707施設で行われた国際的な二重盲検試験で、プラスグレル投与群とクロピドグレル投与群における安全性や虚血性疾患イベント(心臓発作・脳卒中またはそれらを主因とする死亡)の発症率などを評価し、両薬剤を直接比較することを目的とした。実施期間は、2004年11月から2007年1月まで。

 対象はPCIが適用されたACSの患者1万3608人で、患者の内訳は、不安定狭心症あるいは非ST上昇心筋梗塞が1万74例、急性ST上昇型心筋梗塞が3534例だった。

 これらをクロピドグレル投与群(6795人、初期量300mg/日、維持量75mg/日)、プラスグレル投与群(6813人、初期量60mg/日、維持量10mg/日)の2群に割り付け、アスピリン併用の抗血栓治療を6〜15カ月間継続した。

 一次エンドポイントは、心血管死と非致死性の心筋梗塞や脳卒中の発生率。安全性は、生命に危険のある出血、大出血、小出血の発生率で評価した。

 その結果、一次エンドポイントは、クロピドグレル投与群で12.1%だったのに対し、プラスグレル投与群は9.9%で有意に低かった(ハザード比0.81、95%信頼区間0.73-0.90、p<0.001)。また、二次エンドポイントでは、ステント療法(ハザード比0.48、95%信頼区間、0.36-0.64、p<0.001)や緊急血管再開通術(ハザード比0.66、95%信頼区間0.54-0.81、p<0.001)、心臓発作(ハザード比0.76、95%信頼区間0.67-0.85、p<0.001)などで、プラスグレル投与群の方が有意に低いという結果だった。

 ただし安全面では、生命に危険のある出血の発生率がクロピドグレル投与群で1.8%だったのに対し、プラスグレル投与群は2.4%と有意に高かった(ハザード比1.32、95%信頼区間、1.03-1.68、p=0.03)。

 これらの効果と安全性の結果をもとに、臨床面での総合評価を行ったところ、エンドポイントの発生率はクロピドグレル投与群13.9%に対し、プラスグレル群12.2%で、プラスグレルの有効性が高いという結論だった(ハザード比0.87、95%信頼区間、0.79-0.95、p=0.004)。

 サブグループの解析によると、脳卒中や一過性脳虚血発作の既往がある群ではクロピドグレルの方が勝っており、75歳以上の高齢者群や体重60Kg未満群では、有意差が出ていないことが明らかになっている。

 Antman氏は、症例によってはプラスグレルの投与量が適切ではなかった可能性があると推察、「今後、TRITON TIMI-38のサブ解析で明らかにしていきたい」などと述べた。