米クリーブランド・クリニックのAnthony A. Bavry氏

 急性冠症候群ACS)で当初からスタチン投与を始めた場合、長期死亡率や、不安定狭心症の発症率などが有意に減ることが、7つの臨床試験について行ったメタ分析で明らかになった。これまでに、急性冠症候群へのスタチン投与について行ったメタ分析の結果では、追跡期間は4カ月までと短く、死亡率などは減少しないとする結果が出ていたが、今回、追跡期間を最低6カ月、平均で22.9カ月と長くしたことで、スタチン投与の有効性が示された。

 これは、米クリーブランド・クリニックのAnthony A. Bavry氏が、11月14日の一般口演で発表したもの。同氏らは、これまでに発表された研究で、急性冠症候群の患者に対し、12日以内に中程度から高用量のスタチン投与を始めた群と、プラセボや低用量スタチン投与などを行った群について調べた無作為化試験(RCT)について、メタ分析を行った。被験者総数は9553人、年齢は52〜69歳だった。

 その結果、原因を問わない死亡率は、対照群で4.6%だったのに対し、スタチン群では3.4%と、0.74倍の低い水準だった(95%信頼区間:0.61〜0.90、P=0.003)。これから計算した治療必要数は84人だった。また、心血管疾患による死亡率は、対照群で3.3%、スタチン群では2.4%と、0.74倍(同:0.58〜0.93、P=0.010)だった。

 さらに、スタチン群の対照群に比べた不安定狭心症の発症リスクは、0.81倍(同:0.68〜0.98、P=0.027)、血管再生術を行うリスクは0.86倍(同:0.78〜0.96、P=0.006)だった。また総コレステロール値は、治療開始時に比べスタチン群で21%減少した(P=0.0006)のに対し、対照群では有意な変化はなかった。

 Bavry氏は、「治療必要数は他の心臓病治療薬に比べて極めて低く、逆に副作用発症率は低い。(クリーブランド・クリニックのように)患者が救急室にいる時点からスタチン投与を始めることができなかったとしても、せめて退院する際には処方を忘れないようにすべきだ」と語った。また、「先に、急性冠症候群へのスタチン投与の短期アウトカムに有効性が見られないという研究結果が出たことを受け、医師が当初からのスタチン投与を控えるようになることを恐れ、今回の分析を行った」とコメントした。