米太平洋保健研究所のJ David Curb氏

 生活がほぼ米国化したと考えられる3世または4世の日系米国人の冠動脈石灰化(CAC)指数と他の冠危険因子プロファイルを米国の白人と比較したところ、白人より日系人の方が無症候性アテローム性動脈硬化患者が多いという興味深い事実が明らかになった。米太平洋保健研究所(Pacific Health Research Institute)のJ David Curb氏らが、11月12日のポスターセッションで発表した。

 対象としたのは、ピッツバーグ在住の40〜49歳の白人男性と、ホノルル・ハート・プログラム登録者の子どもに当たる40-49歳の日系米国人男性。医療歴とライフスタイルに関する情報、CACレベルと臨床データを収集した。CACは電子ビームCTを用い、Agatston法で測定した。

 石灰化がある人(CAC>0)の割合に人種間で有意な差はなかったが、日系人302人、白人302人のCACスコアの平均は、それぞれ58.4と22.5で、日系人の方が有意に高かった(P=0.009)。また、CACが100を超えた頻度も日系人の方が有意に多かった。

 BMI、喫煙量、飲酒量については、両群間に有意差はなかった。日系人の方が有意に高かったのは、HDLコレステロール(51.0mg/dL vs 47.2mg/dL、P<0.001)とトリグリセリド(186mg/dL vs 150mg/dL、P<0.001)。LDLコレステロール値は米国白人の方が有意に高かった(122mg/dL vs 135mg/dL、P<0.01)。脂質降下薬を使用していた人の頻度は、白人が12.6%、日系人は22.5%で、日系人の方が有意に高かった(P<0.001)。高血圧患者は、日系人の31.1%、白人の14.9%(P<0.001)、糖尿病は日系人の13.3%、白人の3.3%に見られた(P<0.001)。

 冠動脈の石灰化と危険因子のレベルの関係を調べたところ、どちらの群もBMIが上昇するにつれて石灰化がある人の頻度が有意に上昇していた(日系人、白人ともにP<0.001)。LDL-C、HDL-C、空腹時血糖値、フィブリノーゲンのレベルと石灰化がある人の頻度には有意な関係は認められなかった。

 石灰化と危険因子の有無の関係を見ると、両人種とも、危険因子がある群で石灰化が見つかる頻度が高かった。しかし、危険因子がある群とない群の間で、石灰化がある人の頻度に有意差が認められたのは、(1)高血圧のある日系人(P<0.001)、(2)現在の喫煙者の日系人(P=0.035)、(3)脂質降下薬を使用している日系人(P=0.008)と白人(P=0.020)、(4)高脂血症の日系人(P=0.035)だった。

 冠動脈石灰化指数を基に判定した無症候性アテローム性動脈硬化患者の割合は、3世または4世の日系人では、親の世代の数値に基づく予想をはるかに超えて高かった。

 本研究対象の日系人の父親世代がホノルル・ハート・プログラムに登録された40年前、彼らが中年の時の冠危険因子プロファイルは、米国白人に比べ良好だった。Curb氏は、「西洋の文化への順応、例えば食生活の変化が危険因子プロファイルを悪化させ、アテローム性動脈硬化リスクを高めている可能性がある」と指摘していた。