ドイツ エルランゲン・ニュルンベルグ大学のRoland Schmieder氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)の降圧を超えた臓器保護作用が注目される中、ARBのバルサルタンがカルシウム拮抗薬のアムロジピンと比べて、心房細動AF)の新規発症を有意に抑制することが分かった。少なくとも1回のAF、持続性AFともに、バルサルタン群で有意に減少したという。ハイリスク高血圧大規模臨床試験「VALUE」サブ解析(あらかじめ設定された2次エンドポイント)で得られた成績として、11月14日の一般口演でドイツ エルランゲン・ニュルンベルグ大学のRoland Schmieder氏が報告した。

 1万例以上を対象にバルサルタン群とアムロジピン群の予後に与える影響を検討したVALUEでは、アムロジピン群で到達降圧値がバルサルタン群よりも有意に低かったにもかかわらず、第1次エンドポイント(心イベント発症+心疾患死)には両群で有意差はないこと,バルサルタン群で糖尿病新規発症が有意に減少したことなどが既に報告されている。

 VALUEの試験開始時にはバルサルタン群、アムロジピン群ともに既に2.6%にAFが認められた(7649例 vs 7596例)。試験期間中に毎年記録した標準12誘導心電図の解析から、これらの症例を除外して評価すると、AF新規発症は551例だったが、これらAF新規発症では洞調律維持例よりも第1次エンドポイントが有意に増加しており、特に致死的+非致死的なうっ血性心不全や脳卒中の有意な増加が認められた。

 一方、バルサルタン群ではアムロジピン群よりも少なくとも1回のAFが有意に減少していた(3.67% vs 4.34%、オッズ比0.839、95%信頼区間0.707-0.995、p=0.0441)。持続性AFの頻度もやはり、バルサルタン群ではアムロジピン群よりも有意に減少していた(1.35% vs 1.97%、オッズ比0.681、95%信頼区間0.522-0.889、p=0.0046)。少なくとも1回のAF、持続性AFともに、左室肥大、年齢、冠動脈疾患歴などで補正しても、ほぼ同様の有意差が得られた。

 Schmieder氏らは、バルサルタン群で少なくとも1回のAFが有意に減少した理由についても検討しているが、患者背景、降圧度、左室肥大の退縮度、利尿薬を含めた併用降圧薬の違いなどの関与は否定的だった。ただバルサルタン群における無作為化後のカリウム高値に関しては、関与の可能性は残ったという。最後にSchmieder氏は、「種々の文献で報告されているようなARBの持つ抗線維化や抗炎症作用が、バルサルタン群におけるAFの有意な減少に関与しているかもしれない」との見解を示した。