B型ナトリウム利尿ペプチドBNP)値は、心房細動(AF)を伴ううっ血性心不全の診断指標としては、正確性が低いことが知られている。だが、心房細動のある呼吸困難の患者について、BNP値を検査した場合としなかった場合で比較したところ、検査をした場合の方が入院日数も短く、総医療費も安いなど、その後のアウトカムが良いことが明らかになった。12日の一般口演で、スイス・バーゼル大学のTobias Breidthardt氏が発表した。この意外とも言える結果に、会場からは驚きの声が上がった。

 病院の救急室などでは、呼吸困難の患者に対してBNP値を調べ、うっ血性心不全の診断の参考にすることが多い。Breidthardt氏らは、心房細動を伴う呼吸困難の患者99人を2群に分け、一方の48人には迅速なBNP検査を行い(BNP群)、もう1群(対照群)の51人には行わなかった。BNP群では、BNP値が100pg/mL未満はうっ血性心不全ではないとし、500pg/mL超はうっ血性心不全と判断、その中間値では臨床情報と併せて総合的に診断を行った。

 その結果、退院までの日数は、BNP群の中央値が8日(25〜75パーセンタイル:1〜16日)に対し、対照群の中央値が12日(同:4〜21日)と、BNP群の方が有意に短かった(P=0.046)。また、最初に退院するまでにかかった医療費総額の中央値も、BNP群が4239ドルと、対照群の5940ドルに比べて少なく(P=0.041)、90日間の医療費総額についても、BNP群が対照群のおよそ3分の2に留まった(P=0.016)。さらに患者に対して適切な治療を開始するまでの時間について比較したところ、BNP群は中央値が51分だったのに対し、対照群は100分と、倍近くかかっていた(P=0.024)。

 会場からは、「BNP値でうっ血性心不全かどうかを判断するのは難しいにもかかわらず、BNP検査が良いアウトカムにつながったのはなぜか」との質問があり、Breidthardt氏は「BNP検査をした患者の方が、医師が素早く判断できたということ。また判断が難しい場合に、BNP値を参考にすることで、うっ血性心不全の可能性を除外しやすかったのではないか」とコメントした。