心不全患者の死亡率と有病率を高める心房細動を、β遮断薬で約6割減らせるとする研究成果が発表された。従来、心筋梗塞や心血管手術の周術期、徐細動後にβ遮断薬を投与すると、心房細動リスクが低下することは示されていたが、心不全時の心房細動リスクについては、β遮断薬の影響は不明だった。埋め込み型除細動器とアミオダロン、プラセボの効果を比較した臨床試験「SCD-HeFT」の登録者を対象とした分析結果で、米胸部心血管研究財団のMichael G. Dickinson氏らが12日のポスターセッションで報告した。

 「SCD-HeFT(Sudden Cardiac Death in Heart Failure Trial)」は、埋め込み型除細動器とアミオダロン、プラセボの効果を比較した試験だが、ベースラインでβ遮断薬などの使用についても調査していた。

 Dickinson氏らは、患者がベースラインでβ遮断薬を90%超の頻度で使用していた場合には、β遮断薬使用者、使用頻度が10%未満だった場合にはβ遮断薬非使用者に分類した。ベースラインで心房細動があった患者は分析から除外した。

 β遮断薬を使用していた患者は全部で1753人。うち991人がカルベジロール(1日用量の中央値は25mg)、551人がメトプロロール(同50mg)、178人がアテノロール(同25mg)を使用していた。

 分析対象としたβ遮断薬使用者は1658人、非使用者は469人だった。重症度は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類によるクラス2がβ遮断薬使用者の73%、非使用者の62%、クラス3が27%と38%だった。また、非虚血性心不全患者の頻度は、それぞれ49%と46%、虚血性心不全患者は51%と54%だった。

 追跡期間の中央値は45.5カ月。その間に心房細動や心房粗動をおこした患者の頻度は、全体では11.8%、β遮断薬使用者群で9.5%、β遮断薬非使用者群で19.8%。既知の心房細動、心房粗動予測因子で調整し、多変量Cox比例ハザード分析を実施した。その結果、β遮断薬の使用は、心房細動、心房粗動リスクを有意に57%下げることが示された(ハザード比0.43、P=0.001)。

 なお、Dickinson氏は、従来、非選択的β遮断薬のカルベジロールは抗不整脈効果が高いという報告がいくつかあったので、カルベジロールと他のβ遮断薬のリスク減少作用を比較したが、本研究ではβ遮断薬の種類による差は認められなかったとしていた。