アテローム血栓症の治療には多額の費用がかかるうえ、血栓部位が増えると医療費が跳ね上がることがわかった。アテローム血栓症に関する大規模な国際的前向き研究であるREACHスタディの登録患者の中から、米国の患者データを基に、入院と投薬の費用を調べた結果明らかになったもの。米ニューイングランド研究所(NERI)のElizabeth M. Mahoney氏らが、12日のポスターセッションで発表した。

 REACHスタディは、冠動脈疾患(CAD)、脳血管疾患(CVD)、末梢動脈疾患(PAD)という3通りのアテローム性動脈硬化症の患者と、アテローム血栓症(ATH)の危険因子を3つ以上持つ患者を登録している。

 Mahoney氏らは、米国の2万5763人(平均年齢70歳)の患者を、血管疾患の部位に基づいて8群に分類、また、患部数で4群(危険因子のみ保有、問題のある血管部位が1カ所、2カ所、3カ所)に分類し、それぞれのグループの入院頻度と、医療費を調べた。

 入院の最も一般的な理由は、鬱血性心不全、不安定狭心症、心筋梗塞、脳卒中だった。登録者のうち症候性の患者では、1000人あたりの入院人数は、それぞれ44人、43人、25人、21人だった。それらに比べ少ないが、無症候性患者でも1000人あたり13.2人、12.2人、8.4人、8.8人が入院していた。また、問題のある血管部位(患部)の数が増えるにつれ、入院頻度は有意に増加(P<0.0001)、血管系インターベンションの適用率も上昇していた。

 入院費用は、患部が1カ所増えるごとに大きく増加した。危険因子のみ保有する患者の1年間の医療費は1人あたり1344ドル、患部が1カ所の患者では2864ドル、2カ所なら4824ドル、3カ所ある患者は8155ドルと、患部の増加で医療費は跳ね上がった。

 入院費と投薬費用のバランスを比較したところ、危険因子のみ保有群では、1年間のコストの66%が投薬費用だったが、CAD、CVD、PADのすべてを持つ群ではその割合が30%と少なく、入院費用の割合が大きかった。

 患部が増えると年間医療費の総額も増加した。危険因子のみ群では1人あたり3932ドルだが、患部が1カ所なら5518ドル、2カ所では7914ドル、3カ所なら1万1636ドルに達した。

 医療費の総額を上げる要因を調べたところ、血管疾患の患部の数以外に、65歳未満、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などがコストの有意な上昇をもたらすことが明らかになった。

 これらの結果からMahoney氏らは、治療コスト抑制のためには、アテローム血栓症患者のイベント発生を減らす努力が必要だとしていた。