植え込み型除細動装置ICD)を装着する冠動脈性心疾患の人は、腹を立てて感情が高ぶることで、心室頻拍VT)や心室細動VF)の発症リスクが、冷静にしている時に比べ3倍超に増えることが明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のChristine M. Albert氏が、12日のポスターセッションで発表した。

 ICD装着者を対象に行ったこれまでの研究では、腹を立てることで、T波の交互脈を増加することは知られていた。また、ICD装着者のVTやVFの発症リスクについては、小規模な後ろ向きコホート試験はあったが、前向きコホート試験はこの研究が初めてという。

 Albert氏らは、全米30カ所以上の医療機関で、1188人のICD装着者を対象に、約2年間にわたって研究を行った。被験者の経験した怒りの程度については、軽度、中程度、重度、怒り狂う、の4段階で、自己評価してもらった。

 調査期間中、VTまたはVFが原因でICDが作動したのは199回だった。そのうち、15回(7.5%)が、発症前1時間以内に、中程度以上の怒りを感じた後に起ったものだった。ICD装着者が、中程度以上の怒りを感じた場合にVTやVFを発症するリスクは、冷静でいる時に比べ、3.2倍(95%信頼区間:1.8〜5.7)に増加することがわかった。

 さらに、最も怒りの程度が大きい「怒り狂う」という経験をした場合には、その1時間以内にVTやVFを発症するリスクは、そうでない時に比べ、16.7倍(同:8.12〜34.5)に増加することがわかった。また、ICD装着者の中でも、6カ月以内に装着を始めたグループや、左室駆出率(LVEF)が30%未満のグループでは、そうでない人にくらべ、怒りに引き続きVTやVFを発症するリスクは増大した。

 Albert氏によると、この調査では、ICDの作動が即時に研究者に通報され、その直後に聞き取り調査を行っているため、作動直前の出来事に関する、思い違いなどのバイアスは少ないだろうとしている。

 会場からは、今回はICD装着者を対象としているため、VTやVFの発作が死に至らなかったものの、非装着者でありながら、慢性心疾患などでVTやVFの発症リスクが高い人こそ、感情を制御して腹を立てないようにした方がいいのでは、とのコメントがあった。