米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のGarrick Stewart氏

 心不全患者は、埋め込み型除細動器ICD)を生命維持装置のように考えていることがわかった。8割近い患者がICDの救命率を実際より高く認識しており、半数の患者は、ICDは自分の命を救うと考えていた。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のGarrick Stewart氏らの成果で、12日午後のポスターセッションで報告された。

 Stewart氏らは、ICDの生存利益や合併症リスクを患者がどう認識しているか、ICDをオフにしようと考えるのはどういうときかを調べた。

 2005年2月から2006年1月にかけ、2病院で心不全患者を登録した。登録したのは、左室駆出率(LVEF)が35%未満で心不全の症状があるが、心室細動/心室頻拍(VF/VT)、心停止、失神歴はない患者。定義は、大規模臨床試験「SCD-HeFT(Sudden Cardiac Death in Heart Failure Trial)」に近似の集団を選び出す目的。同臨床試験ではICDの5年間の救命率は100人当たり7.2人と報告された。

 104人(平均年齢58歳)を調査対象とした。重症度は、NYHA1-2が59%、3が37%、4は3%だった。LVEFの平均は21%、VO2max(最大酸素摂取量)は14.7ml/kg/minだった。

 対象患者に、5年間の救命率をどの程度と思っているかをたずねたところ、全体の77%が過大評価しており、半数強(54%)の患者は、100人中約50人の命を救うと考えていた。実際にSCD-HeFTで得られ得た結果よりも明らかに低い5%程度と答えた患者は3%に過ぎなかった。ICD使用者と非使用者の間で、過剰評価の程度に差はなかった(P=0.46)。

 ICDが自分の命を救うと思うか、との問いに対して「はい」「いいえ」「わからない」の3つの答えを提示したところ、ICD使用者の方が「はい」と答えた頻度が高かった(67% 対 16%、P<0.0001)。全体では約52%が「はい」と回答した。

 使用者だけを対象にすると、5年間の救命率が5%未満でもICDを使用したいと答えた患者が48%いた。52%は、不適切なショックが与えられる回数に関わらずICDを使用したいと答えた。今回対象となった使用者の80%は、電気ショックを経験したことがなかった。適切なショックの経験者は13%、不適切なショックの経験者は7%だった。

 患者たちはICDを生命維持装置のようにとらえていた。徐細動機能を体外から簡単にオフにできることは多くの患者が知っていたが、多くの患者はオンのままにしてほしいと答えた。何があってもオフは望まないと答えた使用者も39%にのぼった。

 心不全患者の多くは、突然死の一次予防におけるICDの効果を過大評価しており、オフにすることを望まなかった。実際には、突然死する心不全患者は多くない。医師は、こうしたことも含めて、ICDの利益の限界とリスクに関する率直な話し合いを患者と行い、情報を提供する必要がある。