カナダ・McMaster大学のAlexander C. Ford氏

 機能性ディスペプシア(FD)と過敏性腸症候群IBS)は、いずれも高頻度にみられる消化器疾患であり、両者の病態にはオーバーラップする点も多い。米シカゴで開催された米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)で6月3日、カナダ・McMaster大学のAlexander C. Ford氏は、システマティック・レビューとメタ解析によってFDとIBSの有病率を検討した結果について報告。両者は高率で合併し、FD患者におけるIBS有病率は、FD症状がない群の6倍以上に上ると述べた。

 Ford氏らは、2008年8月までにMEDLINE、EMBASEの両データベースに収録された文献の電子的検索と、書籍や関連文献の引用文献欄からのハンドサーチにより、FDの有病率に関する論文2万3457報を抽出した。

 次に、2人の査読者がこれらの論文のタイトルと抄録を査読。さらに、第3の査読者がその適格性を判断することにより、必要十分な例数(50人以上の成人)で、real worldにおける有病率を評価するのに適した集団(地域や健診機関、プライマリケア医など)を対象とした研究論文241報を選び出した。

 これらの文献のうち222報は、IBSの有病率について言及していないなどの理由で除外し、最終的に残った19報、1万8196例のデータを解析に供した。

 その結果、算出されたFDの有病率は27%(95%CI:24-31%)、IBSの有病率は16%(95%CI:12-20%)だった。また、FD患者におけるIBSの有病率は35%(95%CI:28-43%)であったのに対し、FD症状がない群のIBS有病率は8.8%(95%CI:6.0-12%)で、IBS有病率についてのFD患者のオッズ比は6.45(95%CI:4.12-10.15)と算出された。

 しかし、全19報の文献で用いられていたFD/IBSの定義は、「種々の上部消化管症状を呈する」といった大雑把なものから、Rome基準に基づくものまでさまざまだった。そのため、個々の試験間の不均一性の尺度であるI2値は95%という高値となった。

 そこでFord氏らは、同じ定義が用いられた文献(すなわち均一性の高い試験)ごとの解析も行った。その分析では、FD患者がIBSを有するオッズ比は、4.5(IBSをManning基準で定義した場合)から13.3(IBSをRome II基準で定義した場合)となった。また、FDをRome II基準で定義した4論文についての解析以外は、すべてのオッズ比が有意となった。

 以上のように、定義によって幅はあるものの、FD患者におけるIBS有病率が高率であることはまちがいない。言い換えれば、両者はかなりの確率でオーバーラップしていることになる。Ford氏は、「もしFDの治療で効果が得られなければ、IBSの併存を疑うべきだ」と述べた。