写真は共同研究者でフランス・Rennes大学のChritine Soufflet氏

 薬剤溶出ステントの普及などに伴い、近年は日本でも抗血小板薬の併用が増えている。しかし、こうした新たな抗血小板療法に伴う消化管出血の特徴に関する情報は少ない。フランス・Rennes大学のJean-Francois Bretagne氏らは、低用量アスピリン単剤とクロピドグレル単剤、両剤併用の抗血小板療法に関連する消化管出血の特徴を比較。大筋において三者の病態に大きな差はないとする検討結果を、米シカゴで開催された米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで報告した。

 今回の報告は、61施設による共同登録研究・ASAPの登録患者のうち、抗血小板療法に関連する消化管出血を発症した患者297例での検討である。Bretagne氏らは、これらの患者を出血時に使用していた抗血小板薬によって、グループ1(低用量アスピリン単剤群、n=191)、グループ2(クロピドグレル単剤群、n=65)、グループ3(両剤併用群、n=41)に分け、それぞれの特徴を比較した。

 3群の患者の年齢、性別、1日40g(日本酒1.5合、またはビール大ビン1.3本)以上のアルコール摂取者の割合、喫煙者の割合には有意な差はみられなかった。しかし、過去に消化管出血の既往のある患者の割合は、グループ1が8.4%、グループ2が18.5%、グループ3が2.4%であり、グループ2で最も高かった。また、グループ1では3群の平均に比べ、ヘパリンの使用頻度が有意に高く(14.4% vs 11.1%、P<0.02)、グループ2では、逆に有意に低かった(3.1% vs 11.1%、P<0.02)。

 出血によって輸血を要した患者の割合は、グループ2で有意に高かった(10.1% vs 9.6%3群平均)、P<0.05)。しかし、上部消化管出血と下部消化管出血の比率やショックの発現率、ヘモグロビン値、内視鏡的な重症度には、3群間で有意な差は認められず、内視鏡的あるいは外科的な止血措置を要した患者の割合も同等であった。

 消化管出血の原因は、びらん性胃炎と憩室症がグループ1でやや多く、胃潰瘍がグループでやや多かったが、上部消化管出血の場合は食道炎、門脈圧亢進症、びらん性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、癌、大腸血管形成異常、Mallory-Weiss症候群、下部消化管出血の場合は憩室症、癌、虚血性大腸炎、大腸血管形成異常、痔などが原因であるという大筋において変わりはなかった。

 以上より、低用量アスピリン単剤、クロピドグレル単剤、両者併用のいずれの抗血小板療法を行った場合でも、それに関連する消化管出血の発生部位や病態、重症度はほとんど同じであり、転帰にも大きな差はないことが示唆された。