大腸癌患者を対象に、炎症性腸疾患IBD)の有無と、スタチン非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)服用との関連をみたところ、スタチンの使用はIBD患者においても、大腸癌リスクを下げる傾向が示された。米シカゴで5月30日から6月4日まで開催されている米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで、米ミシガン大学医学校のN. Jewel Samadder氏が報告した。

 Samadder氏らは、Molecular Epidemiology of Colorectal Cancer Studyの参加登録者から、1998〜2008年に大腸癌と診断された患者(ケース群)2116人と、大腸癌以外の患者背景をマッチさせたコントロール群2245人を抽出、IBDであるかどうか、またスタチンやNSAIDsを使用しているかについて自己申告してもらった。

 その結果、ケース群ではIBD患者が44人(2.1%)だったのに対し、コントロール群ではIBD患者は20人(0.9%)と有意に低く(p=0.001)、IBD患者では大腸癌発症の相対リスクが2倍強、有意に高いことが示された(RR=2.31、95%CI:1.34-3.98、p<0.001)。

 次いで、スタチンの使用と大腸癌リスクの関連をみたところ、ケース群でスタチンを使用していたのは126人(6.3%)、コントロール群では241人(12.0%)で、スタチン使用により、大腸癌の相対リスクは有意に半減していた(RR=0.59、95%CI:0.47-0.75、p<0.001)。

 一方、IBD患者では、ごく少数例のため、有意差は得られなかったが、ケース群で1人(2.5%)、コントロール群では5人(27.8%)となり、IBD患者でもスタチンの使用で、大腸癌リスクが減少する傾向がみられた(RR=0.13、95%CI:0.01-1.23、p=0.075)。

 NSAIDsの使用と大腸癌リスクとの関連については、ケース群でNSAIDsを使用していたのは327人(15.8%)、コントロール群では514人(23.1%)で、NSAIDs使用者では大腸癌の相対リスクが約4割、有意に減少していた(RR=0.60、95%CI:0.50-0.73、p<0.001)。しかし、IBD患者では、ケース群で5人(11.4%)、コントロール群で6人(30.0%)となり、NSAIDs使用による有意なリスク減少はみられなかった。

 Samadder氏は、「IBD患者では大腸癌リスクが2倍以上と高いことを考えると、スタチンはIBD患者の大腸癌予防の手段として十分な期待が持てそうだ。こうした観点から、新たな臨床試験を実施したい」と意欲をみせていた。