進行した食道扁平上皮癌に対する根治的な化学放射線療法後、遺残や再発に対して行うサルベージ治療として、「光線力学療法(Photodynamic therapy:PDT)」が長期的にみても有効であることが明らかになった。米シカゴで開催されている米国消化器内視鏡学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで6月3日、国立がんセンター東病院消化器内科の矢野友規氏が発表した。

 PDTとは、腫瘍細胞に選択的に蓄積する光感受性物質フォトフィリンを静脈注射した後、内視鏡を用いて腫瘍細胞にレーザー光を照射、光化学反応で照射部位に活性酸素を発生させることで、腫瘍細胞のみを効率的に壊死させるという方法。これまで化学放射線療法後のサルベージ治療としては手術が行われていたが、技術的に非常に困難だった。

 矢野氏らは、2002年12月から2005年2月にかけて、進行食道扁平上皮癌患者37人(男性35人、女性2人、平均年齢64歳)に化学放射線療法を行った後、サルベージPDTを施行した。化学放射線療法施行前のTNMステージ分類は、ステージIIIが最も多く22人、次いでステージIIが11人。PDT施行前の腫瘍の状態は、再発が10人、遺残が27人だった。

 治療の結果、完全奏功(CR)が得られた22人(59.4%)の患者を、平均55カ月にわたって追跡したところ、10人は再発なく経過し(うち1人は別の疾患により死亡)、12人は再発を来した。再発は、局所再発が4人、リンパ節転移が4人、肺転移が2人などだった。再発を来した12人に対してPDTや手術、化学療法などが行われた結果、5人が生存、7人が死亡した。PDTの実施による3年生存率は47.4%、5年生存率は36.1%だった。

 PDTに伴う合併症は、食道狭窄が20人、穿孔が4人、光毒性2人だった。食道狭窄については、バルーン拡張術を行った。

 矢野氏は、「PDTの施行により、サルベージ手術と比較しても遜色ない生存率が得られた。化学放射線療法後のサルベージ治療の選択肢の一つとして、十分考慮してよい方法と考えられる」と話した。