従来、胃食道逆流症GERD)などの診断に利用されてきた24時間食道内pHモニタリングシステムは、pHセンサー付きカテーテルを経鼻的に食道と胃の接合部まで挿入するもので、患者負担が非常に大きいことが問題だった。これに対し、カプセル型のセンサーを用いたワイヤレスpHモニタリングシステム「Bravo」を従来のpHモニタリングシステムと比較した結果が明らかになった。米シカゴで5月30日から6月4日まで開催されている米国消化器学会第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで、カナダ・Calgary大学のChadwick I. Williams氏が報告した。

ワイヤレスpHモニタリングシステム「Bravo」。写真下がモニター装置、中央右がカプセル本体、上方はカプセルを挿入・留置するためのカテーテル

 「Bravo」(写真、イスラエルGiven Imaging社製)は、先端に小型のカプセル型pHモニターを装着したカテーテルを経口的に挿入し、食道と胃の接合部にまで進めた後、pHモニター部のみを食道粘膜に固定する仕組み。具体的には、カテーテルを通して空気を吸引することで、小型カプセルのpHモニター本体に開いた小さな穴に粘膜組織を引き込み、そのまま針で固定する。pHモニターは48時間pHを計測し、患者が身につける記録装置へとデータを送信する。計測後、カプセルは自然に食道を離れ、排泄される。

 Williams氏らは、24時間食道内pHモニタリングを予定していた46人(平均52歳)をランダムに、従来のカテーテルを用いた方法(カテーテル法)23人とBravoシステムを用いた方法(Bravo法)23人に割り付けてpHモニタリングを行った。その後、患者に検査の不快度を0〜100の間で評価してもらい、両群の平均値を比較した。

 その結果、検査開始前の不快度については、カテーテル法が28、Bravo法が33と明らかな差はなかった(p=0.32)が、検査後の不快度については、カテーテル法が40、Bravo法が26と、有意にBravo法で低くなっていた(p=0.02)。

 装置が固定できなかったなど、検査が行えなかった割合は、Bravo法で13%(3人)あったのに対し、カテーテル法では0%だったが、両群に有意差はなかった。毎日の活動への影響度については、カテーテル法が89、Bravo法が49と、Bravo法の方が有意に軽度だった(p<0.0001)。食事や飲み物の摂取への影響についても、カテーテル法78、Bravo法48と、Bravo法の方が有意に軽度だった(p<0.001)。

 Williams氏は、「Bravo法はカテーテル法よりも簡便であり、患者への負担も少ない。検査中も、通常と変わらない生活を送れる点も優れている」とした。なお、この商品は日本では発売されていない。


【訂正】
 本文中でpHモニター装置の製造企業名をMedtronic社としましたが、同製品とその担当部門は2008年12月付けで、イスラエルGiven Imaging社が買収していましたので、訂正します。