日本医科大学消化器内科学の高橋陽子氏

 非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)は、潰瘍などの小腸障害を起こすことが知られている。小腸での脂肪吸収に対するNSAIDsの影響をプロトンポンプ阻害薬PPI)と比較したところ、NSAIDsを投与した場合、脂肪吸収に障害があることを示す白色絨毛が明らかに多くみられ、脂肪吸収に遅れを来すことが明らかになった。米シカゴで開催されている米国消化器内視鏡学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで5月31日、日本医科大学消化器内科学の高橋陽子氏が発表した。

 対象は、50歳未満の男性ボランティア61人(平均36歳)。対象者にカプセル内視鏡検査を行った後、NSAIDs(ジクロフェナクナトリウム25mgを1日3回)とPPIオメプラゾール20mgを1日1回)を投与する群と、同量のPPIのみを投与する群に分け、2週間後に再度カプセル内視鏡検査を行って小腸粘膜の変化を調べた。粘膜の状態は、白色絨毛が全くみられない場合を0、10%未満であれば1、10〜90%であれば2、90%以上みられた場合を3、という4段階で評価し、平均を求めた。

 その結果、NSAIDs群では、投与前には1.4だったが、投与後には2.1へと白色絨毛の割合が有意に上昇した(p=0.042)が、PPI群では、投与前の1.7から投与後は1.2へと、低下傾向がみられた。

 高橋氏は、「薬剤性小腸潰瘍などに比べると、脂肪吸収に対するNSAIDの影響は、これまであまり知られていなかった。今回の研究で、NSAIDs投与後の明らかな白色絨毛の増加がみられたことで、脂肪の吸収を遅らせるというNSAIDsの悪影響が示された」と結論づけた。