カナダ・トロント大学のBernard Zinman氏

 2型糖尿病患者に対する持効型溶解インスリンと経口血糖降下薬との併用療法(BOT)において、インスリン デグルデク(以下、デグルデク)はインスリン グラルギン(以下、グラルギン)と比較して、夜間低血糖を発現することなく、目標の早朝空腹時血糖値FPG)を達成する割合が高いことが明らかになった。これは、4件のtreat to target試験のプール解析で示されたもので、6月21〜25日にシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で、カナダ・トロント大学のBernard Zinman氏が発表した。

 4試験はすべてオープンラベルのランダム化比較試験で、患者はデグルデクまたはグラルギンを1日1回、経口血糖降下薬との併用で26週または52週投与された。BEGIN Once Long(1030例)、BEGIN Low Volume(457例)、BEGIN Once Asia(435例)はインスリン治療歴のない患者が対象で、BEGIN Flex(508例)では、既にインスリン治療を行っている患者も対象として含まれた。今回の検討では、これらの中から条件に適合した2380例を解析対象とした。

 FPGが90mg/dL未満になるように、規定のプロトコールに基づきデグルデクまたはグラルギンの投与量が調節された。確定低血糖とは、第三者による処置が必要な低血糖あるいは血糖値が56mg/dL未満だった場合と定義し、午前0時1分から5時59分の間に発現した確定低血糖を確定夜間低血糖とした。

 全試験合計および各試験ともに、FPG目標値(90mg/dL未満)を達成した患者の割合は、デグルデク群でより高かった。全試験合計でデグルデク40.9%(621例)対グラルギン29.4%(253例)で、試験別ではそれぞれ、BEGIN Once Longで39.1%(302例)対24.1%(62例)、BEGIN Low Volumeで37.7%(86例)対28.8%(66例)、BEGIN Once Asiaで42.9%(124例)対36.3%(53例)、BEGIN Flexで47.8%(109例)対31.3%(72例)だった。

 一方、全試験合計および各試験において、確定夜間低血糖を発現しなかった患者の割合は、デグルデク群で高かった。全試験合計ではデグルデク群86.7%(1316例)対グラルギン群83.4%(719例)だった。試験別ではそれぞれ、BEGIN Once Longで86.3%(667例)対84.8%(218例)、BEGIN Low Volumeで93.9%(214例)対91.3%(209例)、BEGIN Once Asiaで79.9%(231例)対76.0%(111例)、BEGIN Flexで89.5%(204例)対78.7%(181例)だった。

 確定夜間低血糖を発現することなく、目標FPGを達成した患者の割合は、全試験合計および各試験で、デグルデク群でより高かった。全試験でデグルデク群34.9%(530例)対グラルギン23.8%(205例)で、試験別ではBEGIN Once Longで32.9%(254例)対19.5%(50例)、BEGIN Low Volumeで34.6%(79例)対24.5%(56例)、BEGIN Once Asiaで34.6%(100例)対27.4%(40例)、BEGIN Flexで42.5%(97例)対25.7%だった(59例)。

 以上より、2型糖尿病患者のBOT療法において、デグルデクはグラルギンと比較して、夜間低血糖を起こさずに目標血糖値を達成できる可能性が高い(オッズ比:1.82、95%信頼区間:1.47-2.22)ことが示された。

 Zinman氏は、「低血糖や低血糖に対する恐怖は、インスリン治療の妨げになる。本解析結果は、血糖値を下げ、かつ低血糖を起こさないという2つの大きな目標を達成する上で、デグルデクがより好ましいことを示唆している」との見解を示した。