米国内分泌学会会長などを歴任したHelena W. Rodbard氏

 2型糖尿病患者に対するインスリン治療で、基礎インスリン(インスリン デテミル)に加えるBolusインスリン(インスリン アスパルト、以下アスパルト)の投与回数を1日1回から開始して、目標血糖値を達成できない場合に2〜3回と増やす段階的強化レジメンでも、インスリン強化療法と同等の血糖コントロールを得られることが明らかになった。低血糖エピソード、脱落者は、より低頻度だった。このFullSTEP試験の結果は、6月25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で、米国内分泌学会会長などを歴任したHelena W. Rodbard氏が報告した。

 FullSTEP試験の登録基準は、診断から12カ月以上経過しており、HbA1c値が7.0〜9.0%で、基礎インスリン治療を6カ月以上行っている18歳以上の2型糖尿病患者。それまで服用していた経口糖尿病薬は継続したまま、基礎インスリンをインスリン デテミルに変更して8週間投与し、その後段階的強化群(201例)と強化インスリン療法群(200例)にランダムに割り付けた。

 段階的強化群はBolusインスリンとしてアスパルトを1日1回から開始し、ランダム化から10週後および21週後の評価でHbA1c7%を達成していなかった場合にのみ、Bolusインスリンを1日1回追加した。強化インスリン療法群は基礎インスリンに加え、毎食後にBolusインスリンを投与した。

 両群の患者背景はバランスがとれており、平均年齢60歳、ほぼ半数が男性で、体重90kg弱、BMI約31kg/m2、糖尿病罹病期間約12.5年、HbA1c値7.9%、空腹時血糖(FPG)125mg/dLで、HbA1cが7.0〜8.0%の患者が56%、8.1〜9.0%の患者が44%だった。

 HbA1cは、10週後が段階的強化群7.5%に対し強化インスリン療法群7.0%(以下、同様)、21週後でも7.2%対6.8%と強化インスリン療法で有意に低値だったが(どちらもP<0.01)、32週後では7.0%対6.8%で両群間に有意差はなかった。FPGは強化インスリン療法群で10週後に一時的に低下したが、両群とも試験期間中に大きな変化はなく、32週後も有意差はなかった。

 低血糖の頻度は、全エピソード、症候性低血糖、無症候性低血糖いずれにおいても、段階的強化群は強化インスリン療法群のほぼ半数だった。また32週の試験期間全体にわたって、どの時点をとっても、低血糖発現率は段階的強化群の方が低かった。

 試験終了時におけるBolusインスリン投与回数は、段階的強化群では1回が17.4%、2回が27.4%、3回が40.3%。強化インスリン療法群は2回が1.0%、3回が72.5%だった。試験脱落率は段階的強化群14%に対して、強化インスリン療法群の方が26%と多かった。

 DiabMedSatで評価した患者満足度は、Burden(P=0.002)、Efficacy(P=0.004)、Overall score(P=0.007)において、段階的強化群の方が有意に良好だった。

 これらの成績からRodbard氏は、「Bolusインスリン投与を段階的に増やすレジメンにより、約半数の患者では1日2回以下のBolusインスリンで、強化インスリン療法と同等の血糖コントロールを得ることができる。低血糖リスクも低く患者満足度が高いことも注目される」と結語した。