カナダ・ウエスタン大学のStewart B Harris氏

 新規の持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)は、低血糖が発生した時の回復にかかる時間や日常生活への影響はインスリン グラルギン(以下、グラルギン)と同程度であることが報告された。カナダ・ウエスタン大学のStewart B Harris氏らが、デグルデクの3つの第3相臨床試験のメタ解析結果を、6月25日までシカゴで開催された米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 メタ解析に用いたデグルデクの第3相臨床試験は、BEGIN ONCE LONG、BEGIN ASIA、BEGIN LOW VOLUMEの3つ。いずれの試験も空腹時血糖値が目標値となるようインスリン投与量を調節するtreat to target法を用い、グラルギンを対照とした、非盲険、非劣性試験だった。患者は試験開始時より基礎インスリンによる治療を開始した。

 前回の来院から低血糖を1回でも発現した患者は、最後に発現した低血糖についてその重症度を問わず詳細なインタビューを受けた。低血糖に関する質問事項は「低血糖に気付くまでの時間」「低血糖発現を認識後、その処置に要した時間(血糖のモニタリングや食物・飲料の確保と摂取に要した時間)」「低血糖持続時間」「食物や飲料の摂取後(処置後)、通常の状態に戻ったと感じるまでの時間」とした。このほか、「低血糖発生時の状態(何をしていた時か)」「低血糖発現後、医療従事者に薬物による治療、運動療法、食事習慣などについてアドバイスを受けるために連絡をとったか」なども質問した。さらに、発現した低血糖が日常生活にどの程度影響を与えたかを0〜10の範囲の数値で回答してもらった(影響が大きい場合、高得点となるようスコア化)。

 登録患者のうち、1922例(デグルデクの投与を受けた患者1290例、グラルギンの投与を受けた患者632例)にインタビューを実施した。計6065件の低血糖の大部分が重大な低血糖ではなく、重大な低血糖は20件未満と少なかった。

 「低血糖に気付くまでの時間」は、デグルデク群およびグラルギン群いずれも7.2分、「処置に要した時間」はいずれの群でも13.2分、「低血糖持続時間」および「通常状態に戻るまでの時間」はデグルデク群およびグラルギン群でそれぞれ26.4分および28.2分ならびに34.2分および32.4分で、いずれも両群間に有意差は認めなかった。

 「低血糖発現時の状態」は、「くつろいでいた時」がデグルデク群およびグラルギン群(以下同様)でそれぞれ26.0%および28.4%、「睡眠中」が22.1%および23.3%、「家事中」が12.4%および9.7%、「仕事中」が7.3%および5.8%、「スポーツ・レクリエーション中」が2.7%および3.1%、「食事中」が0.9%および0.7%、「車の運転中」が0.6%および0.6%、「その他の活動中」が27.3%および28.5%だった。

 低血糖が日常生活にどの程度影響を与えたかについては、なんらかの影響があると回答した患者はデグルデク群35.4%、グラルギン群33%で、大部分の低血糖はいずれの群でも日常生活への影響が小さかった(スコア5点以下の割合:デグルデク群で94%、グラルギンで95%)。日常生活の妨げになったとして10点と採点した患者は、デグルデク群0.8%、グラルギン0.7%にとどまった。

 低血糖発現後、病院あるいは糖尿病専門の診療所を受診した患者の割合はデグルデク群で5.2%、グラルギン群で5.0%、その他の医療従事者に連絡をとる患者がデグルデク群で2.6%、グラルギン群で2.9%、主治医と連絡をとる患者がデグルデク群で1.5%、グラルギン群で2.4%であり、医療機関を受診する患者の割合は少なかった。

 Harris氏は、「デグルデクは作用持続時間が長いという特性を有するが、低血糖発現から回復までの時間や日常生活への影響などはグラルギンと同程度であった」と結論した。