米Metabolic Institute of AmericaのYehuda Handelsman氏

 新規の持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)とインスリン グラルギン(以下、グラルギン)を、インスリン未治療の2型糖尿病患者に2年間投与した後にSF-36 v.2(以下、SF-36)を用いて健康関連QOLを評価した結果、デグルデクを投与した患者で有意に改善していたことが明らかになった。デグルデクまたはグラルギンを52週間投与した第3相臨床試験をさらに52週間継続した延長試験の結果で、米Metabolic Institute of AmericaのYehuda Handelsman氏らが、6月21日から25日までシカゴで開催されていた第73回米国糖尿病学会(ADA2013)で報告した。

 患者の健康関連QOLに対するデグルデク投与の影響については、インスリン未治療患者を対象に実施された52週の第3相臨床試験で既に検討されている。Handelsman氏らは今回、この第3相臨床試験に参加した被験者を対象に52週間の延長試験を実施し、計105週における健康関連QOLをSF-36で評価するとともに、長期の有効性と安全性を評価した。

 主要試験に参加したインスリン未治療の2型糖尿病患者1030例(デグルデク投与群773例、グラルギン投与群257例)のうち、725例が延長試験に継続して参加して、659例が試験を完了した。SF-36のスコアの解析には、関連する因子で調整したANOVAを用いた。

 延長試験を開始する際のインスリン投与量は、52週の主要試験終了時と両群間とも同レベルとした。その後は、空腹時血糖値70〜90mg/dLを目標に投与量を調整した。

 SF-36は、様々な疾患で健康状態の評価に一般的に用いられている質問票で、(1)身体機能、(2)日常役割機能(身体)、(3)体の痛み、(4)全体的健康感、(5)活力、(6)社会生活機能、(7)日常役割機能(精神)、(8)心の健康――という8つの下位尺度をスコア化して評価する。さらに、各項目を身体的健康サマリースコア(PCS)と精神的健康サマリースコア(MCS)の2つに集計した評価も可能だ。

 デグルデクは効果的にHbA1cを改善した。投与後105週のHbA1cは、デグルデク群では7.2%に、グラルギン群では7.1%となり、HbA1cの変化量は両群間で同様だった。一方、投与後105週の空腹時血糖値は、デグルデク群では109.0mg/dL、グラルギン群では117.7mg/dLとなり、低下量はデグルデク群で大きく、その差は有意だった(P=0.02)。

 夜間低血糖(第三者による処置が必要な低血糖および血糖値が56mg/dL未満の低血糖のうち、午前0時01分から5時59分の間に発現したもの)の患者当たりの年間発現件数は、デグルデク群がグラルギン群に比べて43%少なく、群間の比(デグルデク/グラルギン)の推定値および95%信頼区間は0.57(0.40-0.81)であり、有意に小さかった(P<0.01)。すべての低血糖および重大な低血糖の発現には、両群で差はなかった。

 SF-36を用いた健康関連QOLの検討では、ベースラインから投与後105週の変化量の群間差(デグルデク−グラルギン)の推定値および95%信頼区間は、身体的健康サマリースコア(PCS)で1.1(0.1-2.1)、下位尺度「身体機能」で1.1(0.0-2.3)および下位尺度「体の痛み」で1.5(0.2-2.9)と、デグルデクで良好で、その差は有意だった(いずれもP<0.05)。

 Handelsman氏は以上の結果から、「デグルデクが身体的な健康状態を有意に改善した背景には、夜間低血糖の発現を減少させたことに関与している可能性がある」と結語した。