Boehringer Ingelheim社のOdd Erik Johansen氏

 2型糖尿病患者に対し、DPP-4阻害薬リナグリプチンを投与すると、そのほかの糖尿病治療薬を投与した場合と比べて、心血管イベントリスクの上昇が見られないことが示された。Boehringer Ingelheim社のOdd Erik Johansen氏らが、6月21日から25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 2型糖尿病患者では心血管イベントが増加するが、DPP-4阻害薬による血糖降下が心血管イベントに与える影響については明確にされていない。そこでJohansen氏らは、2型糖尿病患者に対しDPP-4阻害薬の1つであるリナグリプチンを投与した際の心血管イベントについて、そのほかの糖尿病治療薬を投与した患者と比較した。

 解析対象は、米国の多施設または国際共同多施設による19の無作為化二重盲検臨床試験において、リナグリプチンまたはそのほかの糖尿病治療薬(インスリン製剤以外)を、12週間〜2年間投与された症例で、2012年8月6日まで使用可能な9569例のデータとした。心血管イベントは、独立した専門委員会によって評価した。

 主要評価項目は心血管イベント(心血管死、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症による入院)とした。

 解析対象は、リナグリプチン群が5847例、対照群が3612例(うちプラセボ群は2675例)だった。

 患者背景は両群でほぼ同じで、年齢が59歳、男性割合が54〜56%、BMIが29kg/m2、HbA1c値が8.1%、糖尿病罹病期間が5年以上の患者割合が54〜56%だった。中等度または重症の腎障害患者の割合は、リナグリプチン群が10.5%、対照群が12.3%、心血管疾患予防のために治療薬を服用中の患者はそれぞれ72.7%、75.9%だった。

 解析の結果、主要評価項目である心血管イベントはリナグリプチン群で60人(1.0%)、対照群で62人(1.7%)で、ハザード比は0.78(95%信頼区間[95%CI]:0.55-1.12)で、リスクの上昇は見られなかった。心血管イベント発症率(1000人・年当たり)は対照群が18.9だったのに対し、リナグリプチン群は13.4だった。

 心血管イベントのうち、3項目(心血管死、脳卒中、心筋梗塞)のイベントは、リナグリプチン群において42人(1.6%)、対照群において46人(2.6%)で発生し、ハザード比は0.74(0.49-1.13)だった。イベント発症率(1000人・年当たり)は対照群が29.1、リナグリプチン群は21.5だった。

 副次評価項目のうち、リナグリプチン群において有意なリスク減少が示されたのは、非致死性脳卒中(ハザード比:0.34、95%CI:0.15-0.75)と一過性脳虚血発作(ハザード比:0.09、95%CI:0.01-0.75)だった(いずれもP<0.05)。

 そのほかの副次評価項目のハザード比は、全死亡が0.89(95%CI:0.45-1.75)、心血管死が1.04(95%CI:0.42-2.60)、非致死性心筋梗塞が0.86(95%CI:0.47-1.56)、不安定狭心症による入院が1.08(95%CI:0.56-2.06)だった。

 Johansen氏は「今回の解析結果から、リナグリプチンが心血管イベント上昇と関連がないことが確認された。リナグリプチンが心血管イベントに与える影響についてはさらなる検討が必要で、心血管アウトカムを評価するCAROLINA試験と、心血管と腎イベントを評価するCARMELINA試験で検討される予定だ」と語った。