デンマークNovo Nordisk社のSvend Havelund氏

 新規の持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)と超速効型インスリンアナログ製剤のインスリン アスパルト(以下、アスパルト)は、それぞれ異なった製剤上の特性を持っている。デグルデクとアスパルトを配合してもそれぞれの画分の吸収プロファイルに影響を与えないことが、サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatograpy;SEC)による検討から明らかになった。デンマークNovo Nordisk社のSvend Havelund氏らが、6月21〜25日にシカゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2013)で発表した。

 製剤中でアスパルトはヘキサマーとして存在している。皮下注射後、アスパルトヘキサマーは速やかに解離してモノマーとなり血中に移行する。一方、デグルデクは製剤中ではダイヘキサマーとして存在し、皮下注射後に可溶性のマルチヘキサマーが形成される。その後徐々に亜鉛が放出され、モノマーがゆっくりと解離することで、緩徐かつ持続的な血中移行を実現している。

 しかし、インスリン製剤には、防腐剤など他の添加剤も含まれている。そこでHavelund氏らは、SECを用いて、デグルデクとアスパルトを配合した場合に両画分の吸収プロファイルが影響を受けるかどうかを検討した。

 試験製剤として、3亜鉛/デグルデクヘキサマーまたは5亜鉛/デグルデクヘキサマーと2亜鉛/アスパルトヘキサマーを、デグルデクとアスパルトの割合が7:3となるよう混合した0.6mMのインスリン製剤を調整した。試験製剤は添加剤としてフェノール16mMなどを含み、pHを7.4に調整した後に摂氏25度で4週間保管した。

 3亜鉛/デグルデクヘキサマーを含むデグルデクとアスパルトの混合製剤をSECにかけ、ダイヘキサマー/ヘキサマーからモノマーの比率(dihexamer/hexamer to monomer)を定量したところ、73対27となった。5亜鉛/デグルデクヘキサマーを含むデグルデクとアスパルトの混合製剤でも71対29であり、製剤中を模倣した環境では互いに影響を与えることはなかった。

 同様にSECによる検討から、デグルデク単独の試験製剤ではデグルデクはダイヘキサマーとして、アスパルト単独の試験製剤ではアスパルトはヘキサマーとして溶出された。またデグルデクとアスパルトの混合製剤でも、デグルデクはダイヘキサマーとして、アスパルトはヘキサマーとして存在していた。

 次に、フェノールを添加せず皮下組織と同様の環境下と想定される溶液を用いてSECを行ったところ、3亜鉛/デグルデクヘキサマーを含むデグルデクとアスパルトの混合製剤では、マルチヘキサマーの分画のデグルデクの割合が90%、モノマーの分画のアスパルトの割合が35%であった。5亜鉛/デグルデクヘキサマーのデグルデクとアスパルトの混合製剤では、マルチヘキサマーの分画のデグルデクの割合が99%、モノマーの分画のアスパルトの割合が99%と、その比率が高くなっていた。

 フェノールを添加しない条件下でのSECから、デグルデク単独の試験製剤ではデグルデクはマルチヘキサマーとして、アスパルト単独の試験製剤ではアスパルトはモノマーとして溶出された。デグルデクとアスパルトの混合製剤でも、デグルデクはマルチヘキサマー、アスパルトはモノマーで存在した。

 以上からHavelund氏は、「デグルデクのダイヘキサマーとアスパルトのヘキサマーは、製剤中で安定して存在可能だった。皮下組織と同様の条件下では、デグルデクは可溶性のマルチヘキサマーとして、アスパルトはモノマーとして存在しており、現行の製剤で皮下へ投与してもお互いの吸収プロファイルに影響を与えることはないと考えられる。これには、亜鉛が重要な役割を果たしている」とまとめた。