Janssen Research & DevelopmentのGary Meininger氏

 ステージ3の慢性腎臓病CKD)を合併する2型糖尿病患者に対し、ナトリウム・グルコース共輸送体sodium glucose transporterSGLT)2阻害薬のcanagliflozin 100mgまたは300mgを投与すると、プラセボ群と比べ、HbA1c値と体重、収縮期血圧が改善または改善傾向にあったことが示された。特に45≦eGFR<60のサブグループでより大きい改善が見られた。Canagliflozinの4つの第3相試験のプール解析結果について、Janssen Research & DevelopmentのGary Meininger氏らが、6月21日から25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 Canagliflozinは米国で承認された初のSGLT2阻害薬で、2型糖尿病患者に適応があり、食事・運動療法に併用して血糖コントロールを行う。推算糸球体濾過量(eGFR)が45mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満の患者に対しては、canagliflozin投与量が100mgまでとなっているほか、eGFRが45mL/分/1.73m2未満の患者には使用できない。

 今回、演者らは、ステージ3のCKD(30≦eGFR<60)を合併する血糖コントロール不良の2型糖尿病患者におけるcanagliflozin投与の安全性と有効性を検討した。

 解析対象は、canagliflozinに関する4つの無作為プラセボ対照の第3相試験に登録されたステージ3のCKDを持つ2型糖尿病患者1085人。さらに、eGFRを元に45≦eGFR<60群(721人)、30≦eGFR<45群(364人)の2つのサブグループに分けて解析した。

 評価項目は、ベースラインからのHbA1c値や収縮期血圧の変化、体重変化率、さらに有害事象とした。

 患者背景は、プラセボ群、canagliflozin100mg群(以下、CANA 100mg群)、canagliflozin300mg群(以下、CANA 300mg群)でほぼ同じで、平均年齢が66〜67歳、男性割合が58〜59%、平均BMIが32〜33kg/m2、平均eGFRが47〜48mL/分/1.73m2、平均糖尿病罹病期間が15年だった。サブグループでは、30≦eGFR<45群の患者は、45≦eGFR<60群と比べてわずかに高齢で糖尿病罹病期間が長かった。

 まず全体の解析の結果、CANA 100mg群またはCANA 300mg群は、プラセボ群と比べ、HbA1c値、体重が有意に減少した。ベースラインからのHbA1c値の変化は、プラセボ群が−0.14ポイント、CANA 100mg群が−0.52ポイント、CANA 300mg群が−0.62ポイントだった(プラセボ群に対してそれぞれP<0.001)。ベースラインからの体重変化はプラセボ群が−0.5kg、CANA 100mg群が−1.9kg、CANA 300mg群が−2.3kgだった(プラセボ群に対してそれぞれP<0.001)。

 収縮期血圧については、CANA 100mg群またはCANA 300mg群は、プラセボ群と比べ有意差はなかったが、減少傾向にあった。ベースラインからの収縮期血圧の変化は、プラセボ群が−1.6mmHg、CANA 100mg群が−4.4mmHg、CANA 300mg群が−6.0mmHgだった。

 サブグループの解析結果は以下のようになった。

 ベースラインからのHbA1c値の変化量を見ると、30≦eGFR<45の患者においては、プラセボ群が0.05ポイント、CANA 100mg群が−0.18ポイント、CANA 300mg群が−0.34ポイントだった。これに対し、45≦eGFR<60の患者では、それぞれ−0.10ポイント、−0.57ポイント、−0.62ポイントで、30≦eGFR<45の患者よりも改善幅が大きかった。

 ベースラインからの体重変化は、30≦eGFR<45の患者においてプラセボ群が0.7kg、CANA 100mg群が−0.3kg、CANA 300mg群が−0.8kgだったのに対し、45≦eGFR<60の患者ではそれぞれ−0.5kg、−2.1kg、−2.4kgで、30≦eGFR<45の患者に比べて減少幅が大きかった。

 ベースラインからの収縮期血圧の変化は、30≦eGFR<45の患者においてプラセボ群が5.7mmHg、CANA 100mg群が0.8mmHg、CANA 300mg群が0.8mmHgだったのに対し、45≦eGFR<60の患者ではそれぞれ−2.6mmHg、−4.4mmHg、−6.8mmHgと低下していた。

 次に安全性について見ると、全体の解析では、CANA 100mg群またはCANA 300mg群における有害事象の発生率は、それぞれ74.0%、75.3%で、プラセボ群(70.4%)と比べて高かった。一方、重篤な有害事象発生率はプラセボ群の方が多かった。

 eGFRのサブグループ別では、治療中断に至った有害事象の発生率は以下となった。45≦eGFR<60の患者ではプラセボ群が6.0%、CANA 100mg群が5.1%だったのに対し、CANA 300mg群が8.4%と高かった。一方、30≦eGFR<40の患者ではプラセボ群が5.2%だったのに対し、CANA 100mg群が6.6%、CANA 300mgが6.3%で、canagliflozin投与群で高かった。

 浸透圧利尿関連の有害事象(頻尿、多尿など)は、45≦eGFR<60の患者ではプラセボ群が4.1%、CANA 100mg群が3.2%、CANA 300mg群が3.8%だったのに対し、30≦eGFR<40の患者ではそれぞれ2.6%、5.7%、4.0%だった。

 血管内容積の減少に関連する有害事象(体位性めまい、起立性低血圧など)発生率は、45≦eGFR<60の患者ではそれぞれ3.0%、4.2%、7.1%、30≦eGFR<40の患者ではそれぞれ1.7%、6.6%、11.1%で、canagliflozin投与群において高率だった。

 重篤な腎関連有害事象の発生率は、30≦eGFR<40群では1.6〜3.3%、45≦eGFR<60群では0〜1.3%、治療中断に至った腎関連有害事象の発生率はそれぞれ1.7〜2.5%、0.5〜1.3%だった。

 これらの結果から演者らは、「ステージ3のCKDを合併する2型糖尿病患者へのcanagliflozin100mgまたは300mg投与により、プラセボ群と比べ、HbA1c値と体重が有意に改善し、収縮期血圧にも改善傾向が見られた。特に45≦eGFR<60のサブグループでより大きい改善を認めた。投与中止につながるような重篤な有害事象の発生率は低く、高い忍容性が確認された」とまとめた。