2型糖尿病患者へのGLP-1受容体作動薬リラグルチドの投与によりアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値は低下し、その低下幅はALT値が正常範囲を超える患者群で大きいことが分かった。これは、リラグルチドの実臨床での使用状況や有効性、有害事象を評価するために実施されている、英国での全国調査Association of British Clinical Diabetologists(ABCD)Nationwide Liraglutide Auditの解析から明らかになったもの。英国Birmingham City HospitalのPiya Sen Gupta氏らが、6月25日までシカゴで開催中の米国糖尿病学会ADA2013)で報告した。

 これまでの臨床試験から、ALT高値の2型糖尿病患者では、リラグルチド投与によりALT値が低下する可能性が示唆されていた。今回、2009〜2013年に同薬を投与された2型糖尿病患者5985例中、投薬前および追跡期間(治療開始から6週間超1年以下)においてALT値が測定されており、投与が中断されなかった1079例を解析対象とした。

 患者背景は、年齢55歳、男性54.6%、白人比率87.1%、糖尿病罹患期間の中央値が10年(四分位範囲[IQR]:6-14)、HbA1c値9.1%、体重110.5kg、BMI 38.7kg/m2だった。

 投薬前のALT中央値は28 U/L(IQR:21-42)で、男女別に見ると、男性は30 U/L(同:23-45)、女性は26 U/L(同:19-37)だった。ALTの正常範囲(男性30.0 U/L以下、女性19.0 U/L以下)に基づき、正常値群(男性295例、女性134例)と異常値群(男性294例、女性355例)に分けたところ、正常値群のALT中央値は男性23 U/L(IQR:18-26)、女性 16U/L(同:13-18)、異常値群では男性45 U/L(同:38-57)、女性31 U/L(同:21-43)だった。

 投与前後(平均4.4カ月、IQR:3.0-6.2)でHbA1c、体重、BMIを見ると、いずれも投与後で有意に低下していた(すべてP<0.0001)。さらに、正常値群と異常値群に分けて検討しても、これら3つの指標はいずれも、両群とも有意な低下を認めた(すべてP<0.0001)。

 ALT値を投与前後で比べると、全例では28.0 U/Lから27.0 U/Lに下がっていた。性別と正常範囲かどうかで4群に分けたところ、正常値群・男性は23.0 U/Lから23.0 U/Lと変化していなかったが、正常値群・女性は16.0 U/Lから15.5 U/Lに低下していた。また、異常値群・男性は45.0 U/Lから41.5 U/Lに、異常値群・女性は31.0 U/Lから28.0 U/Lにそれぞれ低下しており、男女とも正常値群より変化量が大きかった。

 投薬前のALT値とALT値の変化量との間には、負の相関が認められた(r=0.38、P<0.0001)。一方、投薬前のALT値は、HbA1cやBMI、体重の変化量との間にいずれも相関を認めず、投与前の体重とALT値の変化量との間にも相関は認められなかった。

 以上からSen Gupta氏らは、「ALT高値の2型糖尿病患者において、リラグルチドは臨床的に意味のあるALT値の低下をもたらす」と結論した。加えて、「本解析から得られた知見は2型糖尿病と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の合併について示唆を与えるもので、その解明のためにはリラグルチドを用いたランダム化比較試験が必要」との考えを示した。