茅ヶ崎市民病院代謝内分泌内科の近藤義宣氏

 GLP-1受容体作動薬リラグルチドを投与した2型糖尿病患者のCペプチド値の推移から、同薬による治療を早期に開始すれば膵β細胞機能の回復を期待できることが示された。6月25日までシカゴで開催中の米国糖尿病学会ADA2013)で、茅ヶ崎市民病院代謝内分泌内科の近藤義宣氏が報告した。

 2010年6月〜2012年12月、茅ヶ崎市民病院ではインスリン療法を行っていた2型糖尿病患者120例に対して、グルカゴン負荷試験(GST)実施後にリラグルチド単独療法を導入した。この中から有害事象によってリラグルチドを中止した25例、登録不同意1例、データ欠落24例、脱落4例を除いた66例を解析対象とした。

 患者年齢は62.5歳、男性39例、体重66.3kg、BMI 25.4kg/m2、腹囲90.0cm、空腹時血糖(FPG)111.2mg/dL、HbA1c値7.5%、糖尿病罹患期間8.6年、GST実施前の血清Cペプチド値(CPR0)1.03ng/mL、同6分値(CPR6)2.38ng/mL、インスリン治療歴2.2年だった。

 リラグルチドは0.3mg/日より開始し、0.9mg/日まで増量した。リラグルチド導入時と導入後24週後に、経静脈的にグルカゴン1mgを投与するGSTを実施、負荷6分間のCペプチド値の時間曲線下面積(AUC-CPR)によって膵β細胞機能を評価した。

 AUC-CPRは、ベースライン時の10.25ng/mL・minが24週後には11.90ng/mL・minへと、有意に増加した(P=0.005)。CPR0も24週後には1.58ng/mLとベースライン時の1.03ng/mLに比べ有意に増加(P=0.005)した。一方、CPR6は24週後も2.38ng/mLで変動はなかった。

 またFPGはベースライン時の111.2mg/dLから24週後に125.1mg/dLと有意な上昇を認めたが(P=0.02)、HbA1cは7.5%から6.7%(P<0.001)へ、体重は66.3kgから64.0kg(P<0.001)へ、それぞれ有意に減少した。

 単回帰分析では、リラグルチド導入時から24週後までのAUC-CPRの変化(ΔAUC-CPR)と糖尿病罹患期間との間に、負の関連が認められた(β=−0.28、P<0.001)。また、年齢、性別、体重変化、HbA1cの変化、治療前のインスリン投与量で補正した重回帰分析でも、ΔAUC-CPRは糖尿病罹患期間と有意な負の関連を示した(β=−0.24、P=0.009)。

 そこで糖尿病罹患期間を三分位し、それぞれの分位におけるΔAUC-CPRを見たところ、第1三分位(罹病期間3年以下)ではベースライン時の10.00ng/mL・minから24週後には13.44ng/mL・minへと、有意に増加していた(P<0.001)。

 第2三分位(罹病期間4〜10年)でも同様に10.03ng/mL・minから12.39ng/mL・minに有意に増加していたが(P=0.006)、第3三分位(罹病期間11年以上)では10.68ng/mL・minから10.07ng/mL・minへと減少傾向にあった。

 ROC解析では、ΔAUC-CPRが正、つまりリラグルチドの投与によってβ細胞機能の回復が期待できる罹病期間のカットオフ値は12年となった(感度86%、特異度59%、AUC 0.73)。

 これらの結果から近藤氏は、「実験動物を用いた基礎的研究では、GLP-1受容体作動薬の投与により膵β細胞機能の回復が認められている。罹病期間が12年程度までという早期の症例であれば、リラグルチドによって2型糖尿病患者のβ細胞機能を改善が期待できることが示唆された」と結論した。