千葉県立東金病院院長の平井愛山氏

 GLP-1受容体作動薬リラグルチドの投与によって2型糖尿病患者の顕性腎症の進行が抑制できることを、6月21日からシカゴで開催中の米国糖尿病学会ADA2013)で千葉県立東金病院院長の平井愛山氏らが発表した。

 GLP-1受容体は腎臓や免疫担当細胞にも発現しており、実験動物における検討ではGLP-1受容体作動薬が糖尿病腎症の進展を抑制することが報告されている。またDPP4阻害薬が2型糖尿病患者の尿蛋白を減少させるとの知見もある。そこで平井氏らは今回、リラグルチドによる糖尿病腎症の進展抑制効果を検討した。

 対象は、顕性の糖尿病腎症を合併した2型糖尿病患者23例(男性13例)。いずれの患者も同病院を継続して受診しており、血糖や血圧の管理が良好で、減塩指導も遵守されていた。

 リラグルチドは0.3mg/日で投与を開始し、3週終了時までに0.9mg/日に増量し12カ月間投与した。それまで使っていた糖尿病治療薬は、低血糖予防の観点から必要と考えられた場合には減量した。追跡期間中は、食事指導や降圧療法は変更しなかった。

 推算糸球体濾過量(eGFR)は、リラグルチド投与前は2カ月ごと、投与開始後は毎月測定した。投与前1〜3年間および投与開始後12カ月間のeGFR値を用いて線形回帰分析を行い、リラグルチド投与前後におけるeGFRの変化率を比較した。

 対象患者のHbA1c値は、ベースライン時の7.45%から1カ月後には7.03%(P<0.0001)、6カ月後には6.61%(P<0.001)、12カ月後には6.88%(P<0.05)と、それぞれ有意に低下した。BMIもベースライン時の27.6kg/m2から、1カ月後には27.2kg/m2、12カ月後は26.5kg/m2と有意低下した(どちらもP<0.001)。

 一方、収縮期血圧(ベースライン時140.2mmHg)とeGFR(同57.2mL/min/1.73m2)は、有意な変動を示さなかった。また尿蛋白は、ベースライン時の2.39g/gCrから12カ月後には1.38g/gCrに有意に低下した(P<0.01)。

 患者ごとの尿蛋白について、ベースライン時の値と12カ月間の変化量との間には、有意な負の相関が認められ(r=0.84、P<0.0001)、ベースライン時の尿蛋白が高度であるほど、尿蛋白の低下度は大幅だった。

 リラグルチド投与前後でのeGFRの変化率を比較すると、投与前では1年当たり−6.58mL/min/1.73m2で経過とともに低下していたが、投与後は1年当たり0.33mL/min/1.73m2と低下に歯止めがかかり、投与前後で有意差が認められた(P<0.01)。

 以上の結果から平井氏は、「リラグルチドは2型糖尿病患者における顕性腎症の進展を抑制する可能性がある。顕性腎症になると腎機能は直線的に低下し透析導入に至ることから、この段階で腎機能低下を食い止められる意義は大きい」と話している。