プライマリ・ケアのレジデントを対象にした、糖尿病治療に関するシミュレーション・教育プログラムは、糖尿病治療に関する知識と治療能力の向上に役立つようだ。6カ月のプログラムを終了したレジデントは、仮想患者について、危険な処方を減らしながら、コストを上げることなく血糖値コントロールを改善する知識を身につけることができた。これは、米HealthPartners Institute for Education and ResearchのPatrick J.O'Connor氏らが、300人超のレジデントを対象に行った無作為化比較試験で明らかにしたもので、6月25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 O'Connor氏らは、19のプライマリ・ケア・レジデンシープログラムに所属する341人のレジデント医師を対象に、調査を行った。同氏らは被験者を無作為に2群に分け、一方の177人には仮想糖尿病患者を用いたシミュレーション・教育プログラムを実施し、もう一方の164人には実施しなかった。

 同プログラムは、18症例の糖尿病仮想患者から成り、そのうち3症例については、6カ月間に渡り毎月疑似診療をするものだった。同プログラムは、各仮想症例について毎回約15分、ウェブ上で疑似電子カルテを用い、医師が臨床的な決断を行い、6カ月後には糖尿病治療の目標達成を目指すという実践的な内容になっている。

 プログラム終了後、被験者は、10項目の糖尿病治療の知識に関する質問と、4つの仮想症例について6カ月で血糖値と血圧値、LDLコレステロール値を安全に目標値に引き下げるための治療についての問いに回答した。

 被験者232人のうち、仮想症例1例以上について完了したプログラム群97人と対照群135人について分析を行った。このうち女性は52%、白人は52%、平均年齢は31歳、家庭医の専攻が44%、内科医の専攻が53%だった。

 知識スコアと、仮想症例について血糖値、血圧、LDLコレステロール値の統合目標を達成できた被験者の割合について、両群を比較した。

 その結果、知識スコア平均値は、プログラム群が5.31に対し対照群が4.10と、プログラム群で有意に高スコアだった(P<0.001)。

 各症例について総合的な目標を達成できたレジデントの割合も、4症例全てについて、プログラム群で有意に大幅に高率だった。具体的には、症例1では、プログラム群が74.5%に対し対照群は21.3%(P<0.001)、症例2は95.8%と61.1%(P<0.001)、症例3は82.6%と33.9%(P<0.001)、症例4は96.7%と83.4%(P=0.02)という結果だった。

 適切で安全な治療方法を用いることができたレジデントの割合は、症例1でそれぞれ22.3%と1.9%(P=0.002)、症例2で15.8%と4.7%(P=0.02)、症例3で48.9%と11.0%(P<0.001)、症例4で41.1%と19.7%(P=0.004)と、いずれもプログラム群で有意に高率だった。

 また、試験終了後の糖尿病治療に対する知識と自信に関する自己評価も、プログラム群で対照群に比べ有意に高スコアで、糖尿病仮想患者を使ったシミュレーション・教育プログラムの有用性が高いことが示された。