左室機能が維持された糖尿病患者で、冠動脈疾患のある場合、血中高感度心筋トロポニンI濃度が、冠動脈疾患のない人に比べて有意に高値であることが分かった。ブラジルUniversity of Sao PauloのAlexandre Segre氏らが、約90人の糖尿病患者について行った試験で明らかにしたもので、6月25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。同濃度の測定が、こうした糖尿病患者の冠動脈リスク判定スクリーニングに活用できそうだ。

 Segre氏らは、糖尿病患者で、心室造影または心エコーにより左室機能保持が確認された89人について、高感度心筋トロポニンIの血中濃度を調べた。被験者のうち、女性は52人で、うち多枝冠動脈疾患が認められたのは22人、残り30人は血管造影で正常な冠動脈が確認された。また男性は37人で、24人が多枝冠動脈疾患、13人が血管造影で正常な冠動脈が確認されていた。被験者は、男女別に年齢とBMIにより比較検討した。

 その結果、血中高感度心筋トロポニンI濃度は、冠動脈疾患のない糖尿病患者で平均7.58pg/mL(標準偏差:2.39)だったのに対し、冠動脈疾患のある患者では11.73 pg/mL(同:5.06)と、有意に高濃度だった(P<0.0001)。

 男女別にみても、女性の冠動脈疾患のない糖尿病患者の同濃度平均値は8.02pg/mL(同:2.62)だったのに対し、冠動脈疾患のある患者では12.95pg/mL(同:5.55)、男性ではそれぞれ6.94pg/mL(同:1.67)と10.60pg/mL(同:4.39)と、いずれも冠動脈疾患のある患者で有意に高濃度だった(女性でP=0.0005、男性でP=0.0086)。

 血中高感度測定心筋トロポニンI濃度のカットオフ値を11pg/mLに設定した場合、より高濃度だった人の85%が、冠動脈疾患のある患者だった。

 Segre氏らは、高感度測定心筋トロポニンIは、糖尿病で左室機能が正常な患者について、冠動脈疾患リスクの階層化に役立つ可能性が高い、と結論した。

 会場のある医師はこの試験結果について、「こうした糖尿病患者について冠動脈疾患のハイリスク患者が特定できれば、より積極的な治療や運動・食事指導をすることができる」と同試験結果を評価していた。