ドイツProfil instituteのTim Heise氏

 持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)と超速効型インスリンアナログ製剤のインスリン アスパルト(以下、アスパルト)を7:3で配合した配合製剤(以下、配合剤)は、定常状態において、アスパルトによる投与直後のインスリン作用のピークと、デグルデクによる長時間にわたる安定した基礎インスリン作用を持つことが確認された。ドイツProfil instituteのTim Heise氏らが、6月25日までシカゴで開催中の米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 本配合剤中では、アスパルトは可溶性かつ安定なヘキサマーとして、デグルデクは可溶性かつ安定なダイヘキサマーとして存在する。皮下注射部位では、アスパルトのヘキサマーはモノマーへ速やかに解離し血中へ移行する。一方、デグルデクのダイヘキサマーは皮下組織でマルチヘキサマーを形成して注射部位にとどまり、徐々にモノマーに解離するため、緩徐かつ持続的に循環血中へ移行する。そのため、本配合剤は1回の注射で基礎インスリンと食事時の追加インスリンの補充が可能となる。

 Heise氏らは今回、1型糖尿病患者22例(男性18例)を対象に、定常状態における本配合剤の薬力学的作用の特性について検討した。対象患者の平均年齢は40.0歳で、BMIは24.6kg/m2、罹病期間は23.1年、HbA1c値は7.9%、空腹時血中Cぺプチドは0.02nmol/Lだった。

 デグルデクの血中濃度の半減期は約25時間で、初回投与後2〜3日で定常状態に達することから、まず全ての患者にデグルデク(0.42U/kg/日)を5日間投与し定常状態に到達させた。その後6日目に、本配合剤0.6 U/kg(デグルデク0.42 U/kg、アスパルト0.18 U/kg)を投与した。

 薬力学的作用は、正常血糖グルコースクランプ法(euglycaemic glucose clamp)により評価した。効果判定は、投与24時間後(1回の投与間隔)までのグルコース注入速度(GIR)の曲線下面積、最大GIR、最大GIR到達時間を指標とした。効果の持続時間は本配合剤投与後、血糖値が8.3nmol/L(150mg/dL)を継続して超えるまでの時間とした。1回の投与間隔(24時間)に対する投与後12時間までの曝露量の比を、1回の投与間隔(24時間)におけるデグルデクの曝露量の分配(distribution)として算出した。

 定常状態における本配合剤のGIRは、アスパルトにより投与後2.5時間まで急峻に上昇したあと低下し、その後はデグルデクにより平坦なプロファイルを示し、グルコースクランプを終了する30時間を超えて維持していた。

 グルコースクランプ法施行中の平均血糖値は一定であり、クランプを終了する30時間を超えて、作用が維持されていた。

 既存の臨床試験データに基づく薬物動態および薬力学的作用モデルを用い、定常状態における本配合剤を1日2回投与した際のGIRをシミュレーションした。その結果、1日2回投与でも1日1回投与時と同様に、基礎インスリン作用が維持されることが示された。

 また、1回の投与間隔(24時間)に対する投与後12時間までのデグルデク曝露量の比は、0.51だった。つまり投与後12時間までとそれ以降の12時間で、デグルデク曝露量はほぼ同様ということになる。

 Heise氏は「1型糖尿病患者を対象とした本試験において、デグルデクとアスパルトの配合剤はアスパルトによる追加インスリンの作用と、デグルデクによる長時間にわたる安定的な基礎インスリン作用を、それぞれ独立して発揮することが示された。1日1回あるいは2回投与により、基礎インスリンおよび1回あるいは2回分の食事時の追加インスリンを補充することが可能となる」とまとめた。