英国Cardiff UniversityのCraig J.Currie氏

 メトホルミン+SU薬併用メトホルミン+DPP-4阻害薬併用について、全死因死亡リスクを比較したところ、メトホルミン+DPP-4阻害薬併用の方で一定の死亡低下がみられたことが報告された。6月25日までシカゴで開催中の米国糖尿病学会ADA2013)で、英国Cardiff UniversityのCraig J.Currie氏らが発表した。

 検討は後ろ向き試験で行い、英国の医療情報データベースであるCPRD(Clinical Practice Research Datalink) から抽出したデータを使用し解析した。

 対象は、英国のプライマリケアで治療を受けた2型糖尿病患者で、2007年から2012年の間に、メトホルミンにSU薬かDPP-4阻害薬のどちらかを上乗せして治療を開始した症例とした。

 前提として、糖尿病の自然経過のどの時点でそれぞれの治療が実施されたかは問題としなかった。その上で、メトホルミン+SU併用群とメトホルミン+DPP-4併用群の2群について、全死因死亡をCox比例ハザードモデルによって比較検討した。比較モデルの中の鍵となる共変量で補正した主要比較解析コホートに加えて、以下の2つの解析も行った。1つは、年齢(±2歳)、性別、糖尿病罹患期間(±1年)、BMI(±3kg/m2)、血清クレアチニン(±10μmol/L)およびHbA1c(±1%)をベースラインで合致させたコホート試験。2つ目は、鍵となる共変量によって予測される傾向スコアを合致させたコホート試験だった。

 その結果、主要比較解析の対象は、メトホルミンとSU薬の併用は2万7251例で、メトホルミンとDPP-4阻害薬の併用は5215例だった。ベースラインで共変量を合致させたコホートには、それぞれ3454例が登録された。傾向スコアを合致させた解析では、それぞれ4703例が対象となった。

 3つのコホートで全死因死亡をみると、主要比較解析では、SU併用群で818人、DPP-4併用群で50人だった(1000人・年当たりでは16.9と7.6)。ベースライン合致コホートでは、SU併用群が71人、DPP-4併用群が18人だった(1000人・年当たりでは10.8と6.9)、傾向スコアを合致させたコホートでは、SU併用群が71人、DPP-4併用群が41人だった(1000人・年当たりでは10.1と4.1)。

 これらの全死因死亡件数をもとに2群間で全死因死亡のハザード比を求めたところ、主要比較解析では、SU併用群のDPP-4併用群に対する補正ハザード比(aHR)は1.265(95%信頼区間[95%CI]:0.900-1.779)となった。ただし、有意差は認めなかった(P=0.176)。

 一方、ベースライン合致コホートでも、傾向スコアを合致させたコホートにおいても、DPP-4併用群に対するSU併用群のaHRは、それぞれ2.314(95%CI:1.348-3.973)、1.691(95%CI:1.135-2.519)となり、全死因死亡リスクはSU併用群で有意に高いという結果となった(それぞれP=0.002、P=0.010)。

 これらの結果から演者らは、「メトホルミンとSU薬の併用を処方された患者よりもメトホルミンとDPP-4阻害薬の併用を処方された患者の方で一定の死亡低下があった」と結論。メトホルミンとの併用治療を行う際には、「今回の試験結果を考慮すべきだろう」とまとめた。