米University of Texas Health Science CenterのKenneth Cusi氏

 糖尿病前症または2型糖尿病を合併した非アルコール性脂肪性肝炎NASH)患者に対し、食事療法とともに18カ月間ピオグリタゾンを投与したところ、プラセボ群と比べ、肝脂肪率がおよそ60%減少したほか、インスリン感受性が有意に改善されたことが報告された。米University of Texas Health Science CenterのKenneth Cusi氏らが、6月25日までシカゴで開催されていた米国糖尿病学会ADA2013)で発表した。

 過剰なアルコールの摂取がないにも関わらず肝臓に脂肪の蓄積が見られる状態を指す非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は、糖尿病や肥満、インスリン抵抗性との関連が指摘されている。単純性脂肪肝と、肝硬変や肝癌に進行するタイプの予後の悪いNASHの2種類で構成される。NASHは脂肪肝に炎症が加わった病態で、多くの場合ALTやASTが上昇する。

 NASHに対しては確立した薬物治療が存在せず、食事療法、運動療法などによる生活習慣の改善が基本となっている。これまでに、NASH患者や非糖尿病患者に対し、インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾンを投与する試験が実施されたが、有意な組織学的改善は確認されていない。そのほか、メトホルミンやビタミンEなどの投与も検討されている。

 今回Cusi氏らは、糖尿病前症または2型糖尿病を合併したNASH患者を対象にピオグリタゾンを18カ月間投与した際の安全性と有効性を検討した。

 投与開始前と投与18カ月後に、肝生検、MRIとMRスペクトロスコピーによる肝脂肪率の測定、二重エネルギーX線吸収法による体脂肪率の測定、経口ブドウ糖負荷試験、インスリン感受性を測定するグルコースクランプ試験を実施した。主要評価項目は肝生検による評価。

 対象は、糖尿病前症または2型糖尿病を合併したNASH患者の101人。このうち、無作為にピオグリタゾン群(51人)とプラセボ群(50人)の2群に割り付け、両群ともに食事療法も同時に実施した。

 両群の患者背景はほぼ同じだった。2型糖尿病患者の占める割合は44〜51%、年齢が50〜52歳、男性割合が68〜71%、BMIが33〜34kg/m2、体脂肪率が33〜34%、HbA1c値が6.3〜6.4%、空腹時血糖値が121〜124mg/mL、空腹時インスリン濃度が15〜16μIU/mL、ALTが50〜51 IU/L、ASTが35〜42 IU/L、NAFLD activity scoreは4.5±0.2だった。肝脂肪率のみ両群間に有意差があり、ピオグリタゾン群が30%、プラセボ群が25%だった(P=0.04)。

 試験の結果、ピオグリタゾン群における投与18カ月後のALT値は、プラセボ群と比べ、有意に低値だった(P<0.01)。ピオグリタゾン群のALT値は、投与開始前が51 IU/Lだったが、投与18カ月後はおよそ20 IU/Lまで低下した。

 さらに、ピオグリタゾン群における投与18カ月後の脂肪細胞、筋肉、肝臓のインスリン感受性は、プラセボ群と比べ、それぞれ有意に改善した(P<0.0001、P<0.001、P<0.01)。ピオグリタゾン群の肝脂肪率はおよそ60%減少し、プラセボ群と比べて有意差が認められた(P<0.01)。

 投与18カ月後のNAFLD activity scoreは、プラセボ群は4.0±0.3だったのに対し、ピオグリタゾン群は2.2±0.3で、有意差が見られた(P<0.001)。

 また、ピオグリタゾン群において、有害事象により投与が継続できない患者はいなかった。

 これらの結果からCusi氏は、「糖尿病前症または2型糖尿病を合併したNASH患者に対するピオグリタゾンの18カ月間投与は、有効かつ安全であることが確認された。脂肪細胞、筋肉、肝臓のインスリン感受性を有意に改善した」とまとめた。