ドイツのUniversity of TübingenのK.Kantartzis氏

 非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD)の確定診断には、肝生検が必要だが、侵襲を伴うため日常臨床で行うことは容易ではない。そこで経口ブドウ糖負荷試験OGTT)における血漿中性脂肪値(TG)がNAFLDの予測に有効かを調べたところ、OGTT実施時のTG変化量(負荷後2時間値−空腹時値、⊿TGOGTT)は、NAFLDの独立した強力な予測因子であることなどが示された。6月21日からシカゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2013)で、ドイツのUniversity of TübingenのK.Kantartzis氏らが発表した。

 対象は糖尿病発症リスクの高い330人(女性:200人、男性:130人、平均年齢:45.5歳、平均BMI:29.5kg/m2)。肝臓の脂肪は、MRおよびプロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーで測定し、空腹時およびOGTT(75g)2時間後に、肝酵素(ALT、AST、γGT)、血清脂質(総コレステロール、HDLコレステロール、遊離脂肪酸、TG)を測定した。対象者のうち213人は、9カ月間のTubingen lifestyle intervention programに参加し、その前後で上記の測定を行った。

 横断分析の結果、肝臓脂肪は、空腹時血糖、負荷2時間後血糖、負荷2時間遊離脂肪酸、HDL-C、LDL-Cなどと相関したが、最も強い相関はγGT(r=0.41、P<0.0001)、空腹時TG(r=0.37、P<0.0001)、負荷2時間後TG(r=0.49、P<0.0001)、⊿TGOGTT(r=0.51、P<0.0001)だった。

 そこで、これらの強い相関を示した因子を予測因子として多変量解析を行ったところ、⊿TGOGTTが最も強い予測因子となり(性、年齢、総内臓脂肪で調整後r=0.28、P<0.0001)、ROC曲線のAUCは0.75(同調整後で0.83)だった。

 それぞれの予測因子について、1SD増加に対するNAFLD発症のオッズ比を調べたところ⊿TGOGTTが最大となった(多変量モデル;オッズ比2.21、95%信頼区間[95%CI]:1.50-3.37)。
 
 また、Tubingen lifestyle intervention programに参加したサブグループの解析においては、介入前のベースライン時の⊿TGOGTTが介入後の肝脂肪の変化を予測する最も強い予測因子だった。そこで、ロジステック回帰分析を行った結果、ベースライン時の⊿TGOGTTは、介入後の肝脂肪減少(1SDの減少に対する)のオッズ比が最も大きかった(多変量モデル;オッズ比:1.90、95%CI:1.25-2.97)。

 これらの結果からKantartzis氏は、「臨床検査で簡易に測定できる⊿TGOGTTは、NAFLDを予測する強力な予測因子であることが示された。また、2型糖尿病にかかるリスクの高い人がライフスタイルの改善でどれだけ肝脂肪が減らせるかを予測することもできるかもしれない」とまとめた。