米Harvard School of Public HealthのSylvia H. Ley氏

 女性の場合、低〜中程度量のアルコール摂取は、血中フェチュインA濃度の低下につながり、糖尿病発症リスク軽減に関与している可能性があるようだ。これは、米Harvard School of Public HealthのSylvia H. Ley氏らが、米国看護師の大規模疫学研究「看護師健康調査Nurses' Health Study)」のデータを分析し明らかにしたもので、6月21日からシカゴで開催中の米国糖尿病学会(ADA2013)で発表した。

 中程度のアルコール摂取が、インスリン感受性の改善に関与していることは、既に知られているが、そのメカニズムについては明らかではないという。LEY氏らは、被験者数12万1700人の看護師健康調査の結果から、女性で血中フェチュインA濃度とアルコール摂取量の記録が得られた1381人について、その関連について重回帰分析を行った。また、2000〜2006年に糖尿病の診断を受けた470人のマッチング症例コントロールを用い、アルコール摂取と糖尿病発症予防において、フェチュインAの関与について分析した。

 被験者のうち、1日のアルコール摂取量が0の人は430人、0〜4.9gが508人、5〜14.9gが281人、15g以上が162人だった。

 アルコールを摂取しない人の血中フェチュインA濃度の最小二乗平均値は、モデルによって多少異なるが、475〜477μg/mL(標準偏差:5.5〜5.7)だった。これに対し、アルコール摂取量が1日0.1〜4.9gの人の同平均値は469μg/mL(標準偏差:5.1)、1日5.0〜14.9gでは456〜460μg/mL(標準偏差:6.8〜7.0)、1日15g以上では450〜453μg/mL(標準偏差:9.0〜9.3)と、摂取量が増えるに従って、血中フェチュインA濃度が低下する傾向が認められた(P=0.006〜0.02)。

 血中フェチュインA濃度と空腹時インスリン値は、アルコール摂取と糖尿病との関連の大部分に寄与しており、血中フェチュインA濃度の寄与率は18.4%(95%信頼区間[95%CI]:1.2〜35.6、P=0.04)、空腹時インスリン値による寄与率は54.8%(95%CI:9.3〜100.4、P=0.02)だった。また、血中フェチュインA濃度と糖尿病との関連について、空腹時インスリン値の寄与率は61.7%(95%CI:25.7〜97.8)だった(P=0.0008)。
 
 LEY氏は、「こうしたアルコール摂取と血中フェチュインA濃度低下に関する生物学的機序の有無については、更なる研究が必要だ」と語った。