米University of MichiganのRodica Pop-Busui氏

 男性の1型糖尿病患者において、勃起不全心血管自律神経障害の有用なサロゲートマーカーであることが示された。DCCT/EDICの登録者を対象に検討した研究成果で、6月21日にシカゴで開幕した米国糖尿病学会(ADA2013)で、米University of MichiganのRodica Pop-Busui氏らが発表した。

 勃起不全(ED)の病態生理には、血管、ホルモン、神経などが関わっている。1型糖尿病(T1DM)の男性における自律神経障害とEDの関係についてのデータは限られていることから、演者らは、DCCT/EDICに参加したT1DMを有する被験者を対象に、心血管自律神経障害(CAN)とEDとの関連を評価した。

 DCCT/EDIC試験は、1型糖尿病患者における強化インスリン療法の効果を検証した無作為化試験のDCCT試験と、その後の観察試験であるEDIC試験で構成される。追跡期間は平均22年に及び、内訳はDCCT試験の追跡期間が平均6.5年(登録期間:1983〜1989年)、EDIC試験の追跡期間が16年(2008〜2010年)だった。DCCT試験では、強化インスリン療法により良好な血糖コントロールを継続することで合併症の発症および増悪が抑制できることが示された。一方、EDIC試験では、DCCT試験で従来の血糖コントロールを続けた群が、EDIC試験を機に強化インスリン療法に切り替えた結果、HbA1cは改善したものの合併症の発症が多かったという結果だった。これは「メタボリックメモリー」という概念を生み出すきっかけとなった。

 今回演者らは、DCCT/EDIC試験の参加者のうち、CAN及びEDの検査を受けた644人を対象とした。解析はデータ把握が完結した634人(ED群:290、非ED群:344)を対象とした。患者背景をみると、年齢はED群が54±6歳、非ED群が50±6歳とED群で有意に高かった(P<0.0001)。また、糖尿病罹病期間はそれぞれ30±5年、29±5年でED群で有意に長く(P=0.0323)、HbA1cは8.1±1.0%、7.8±0.9%でED群で有意に高かった(P<0.0001)。微量アルブミン尿はED群が20%、非ED群が9%、網膜症は24%、16%と、いずれもED群で有意に多かった(P=0.0002、P=0.0128)。このほか平均収縮血圧はED群で有意に高く、喫煙者の割合も有意に多かった。

 これらの患者背景を踏まえ、CANとEDの関連を解析した。その結果、DCCT終了時、CANが確認されたのはED群が非ED群より有意に多かった(P=0.00369)。その後のEDICのフォロー期間(17年)で、ED群、非ED群ともにCANの確認例が増加し、2群間の比較ではED群で有意に多いことが分かった(P<0.0001)。

 CANの発症において、ED群の非ED群に対する調整後オッズ比は1.48(95%信頼区間[95%CI]:1.06-2.19、P<0.05)だった。CANの指標別にみると、R-R間隔<15(1.73、95%CI:1.15-2.61、P<0.01)、バルサルバ比(2.03、95%CI:1.07-3.83、P<0.05)だった。

 これらの結果をもとに演者らは、男性の勃起不全は心血管自律神経障害の有用なサロゲートマーカーであることが分かった、と結論付けた。